多くのデザインコードを継承
「ナビタイマー」は、代名詞でもある回転計算尺、3つ目のクロノグラフカウンター、刻みの入った操作しやすいベゼルなど、多くのデザインコードを継承しながら現代に至っている。
もちろん新作でもそれは継承されているが、それらはより洗練され、シンプルに整理されている。このような大きな変化は、いつ以来だろうか。今作では、近年にない、思い切った変更がなされている。
まずはケースだが、これまでのポリッシュに変わり、ポリッシュとサテン仕上げを交互に施している。これによって質感に深みをもたらしている。すべてが輝いているわけではないが、その分、輝くべきところが一層強調された感じである。
また、文字盤に目を移すと、そこはスッキリした印象に。大きなポイントは、オリジナルモデルに倣ってタキメーターをなくしたことだ。クロノグラフには当然タキメーターはつきもの、という認識を覆す大きな変更である。さらには、デイト表示を4時位置から6時位置のインダイヤル内に移しているのも見逃せない。
そして、長年置かれていなかったAOPAウィングも復活させている。1965年にツインジェットロゴが使用される前まで使われてきた、AOPAウィングが置かれるのは実に57年ぶりだ。
ムーブメントは、Cal.01。COSC(スイス公式クロノメーター検定)の認定を受けた自社製である。パワーリザーブは約70時間を誇り、5年間の保証付でもある。機械の動きはケースバックから見ることができる。
サイズは46、43、41㎜の3種類、ケース素材はステンレススティールと18Kレッドゴールドが用意されている。文字盤カラーも、今までにないモダンなアイスブルー、ミントグリーン、カッパーを新たに採用しており、ラインナップはかなり充実している。
「ナビタイマー」は名作時計ではあるが、その出自から、どうしても男っぽさが前面に出てしまっていた。しかし、開発から70年の時を経て発表された今作は、豊富なサイズに加え、優しい色使いもあって、着ける人を選ばない腕時計に仕上げられていた。
どうやら「ナビタイマー」は、新しいフェーズに入ったようである。
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