JBpress autographの編集陣がそれぞれの得意分野でお薦めを紹介する連載「RECOMMENDED」。第17回はサンルイの「ヴィブラシオン」を紹介します。

構成・文=長谷川剛(TRS)スタイリング=石川英治(TABLEROCK)写真=大泉綾平(初出:2021年8月21日)

繊細な光が心をゆっくり解してくれる

 自室でほっと心のしわ伸ばそうという瞬間。たとえば仕事が終わって一息つくのは、だいたい夕食の後がほとんど。お気に入りの椅子に腰を掛けてその日を振り返るとき、なにか寛げるドリンクと一緒に、周囲を優しく照らすライトがほしいものです。均一に明るい照明器具ではなく、ボワッと蝋燭のような有機的な明かりがあると、リラックスの時間は一層心地よいものとなるのです。

 我々の日常は通信環境の進化などに伴い、常に多くの情報にさらされるようになりました。ひょっとすると一人の人間では処理しきれないほどの情報に囲まれているのではと感じることもあるくらい。そんな現世の強い波にさらされ疲弊した脳と心は、どこかでリセットされる必要があるのです。しかし一日の重要な締めくくりであり、明日の活力を得るための時間くらい、特別な気分にさせてくれる演出があっても良いはずです。

クリスタルで覆われた至高のテーブルランプ

2つの電球が優しく灯ることで、味わい深い光を発する瀟洒なテーブルランプ。スマートな矩形デザインは、どんなインテリアにも美しく馴染みます

 サンルイのテーブルランプは至高のクリスタルにて電球を覆ったスタイリッシュな工芸品。テーブルの上や棚、それに床などにセットすることで、インテリア全体を優しくエレガントに照らしてくれる光のアートです。サンルイについてはご承知のとおり、あのエルメスグループに属する伝統的なクリスタルブランド。1586年、フランスはミュンツタールの地に創業し、1767年に栄誉ある王立ガラス工房の称号を授かった生粋の名門です。

 そんなサンルイがライティングを手掛けだしたのは1837年から。壮麗なシャンデリアを作り上げ、王侯貴族の華麗なる日々をきらびやかに照らしたと言います。その高貴な光のエッセンスを凝縮させたアイテムこそ、この「ヴィブラシオン」コレクション。ハンドカットにてあしらった繊細なダイヤモンド・モチーフは、サンルイの貴重なシグネチャーです。ワイングラスのような官能的な洗練さとは異なる力強い紋様が、電球の光を玄妙な輝きに変えて周囲を静かに照らしてくれるのです。

至高の光はフランスの宝であるクリスタルガラスを通すことで生まれます。菱形のハンドカットは一律でなく、部分によって曲線となり、光の流れに有機的な味わいを加えます。 サイズ:H260×L380ミリ 94万1600円(サンルイ/エルメスジャポン Tel.03 3569 3300)