ボルボの最新BEVである“C40リチャージ”に試乗して、スウェーデンを代表する自動車メーカーの基本姿勢もまったく同じであることに気づきました。

 私がC40リチャージを取材したのは、ベルギーで行なわれた同モデルの国際試乗会でのこと。余談ですが、新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延して以来、私が海外に出かけたのはこれが初めてで、およそ1年半ぶりのことでした。

 

シンプルで美しいボルボ

 ところで、ボルボと聞いて皆さんはどんな印象を持ちますか? 最近は北欧家具を思わせるシンプルで美しいデザインが人気のボルボですが、もともと高い安全性で定評があることは皆さんもご存じのとおり。そしてC40リチャージもまた、安全性を強く意識して開発されたBEVだったのです。

 その典型的な例と思われたのが、バッテリーのレイアウトです。

 一般的にBEVはエンジン車よりも航続距離が短く、しかもバッテリーに蓄えた電力を一度使い果たしてしまうと充電するまでに長い時間を要するので、BEVには大容量バッテリーを搭載することが主流となっています。このため、多くのBEVが床一面に広くバッテリーを敷き詰めることで、バッテリー容量を稼ぎだそうとしています。

 C40リチャージも、やはり床一面にバッテリーを敷き詰めていますが、よくよく見るとライバルメーカーとは少し考え方が異なっていました。車両の側面にあたる部分やタイヤを取り囲む部分は、必ず少し余裕を残してバッテリーをレイアウトしていたからです。

 その理由を、同社安全部門の責任者であるヤン・イヴァーソンは次のように説明してくれました。「万一事故が起きてもバッテリーが傷つくことがないように、車両の周辺部分にはバッテリーを配置していません。安全性を常に第1に考えること。これがボルボの思想です」

 

ボルボ独自のレイアウト

 念のため付け加えておくと、BEVで用いられるリチウムイオンバッテリーは変形したり傷がついたりすると発火の恐れがあるため、どの自動車メーカーも頑丈なケースに収納して安全を確保しています。ボルボの場合は、これを一歩推し進めて、事故の際にも衝撃を受けにくい車体の中心に近い部分にのみバッテリーをレイアウトしたのです。もちろん、そのままではバッテリー容量が不足してしまうので、車両中央を前後に走るセンタートンネルと呼ばれる部分や後席のシート下などにはバッテリーを高く積み上げることで不足分を補っています。

 もうひとつC40リチャージでユニークなのは、インテリアに天然皮革を一切用いないレザーフリー仕様を全車に採用した点にあります。天然皮革の使用については、動物愛護の観点や牧畜業がCO2排出に与える影響などから、ファッション界でも取り止める傾向が強まっています。こうした思想も、いかにもボルボらしいといえます。

 もちろん、現行ボルボ車に搭載されているすべての先進安全装備をC40リチャージにも採用。C40リチャージのSUVクーペというスタイリングはボルボにとって初の試みですが、基本的なデザイン言語は他のモデルと共通で、ひと目見ただけでボルボとわかるはずです。

 つまり、C40リチャージはすべての面でボルボらしいBEVといえるでしょう。