早大は太田と千明の完全復活が必須

2021年12月7日、全国大学駅伝、3区を走る中谷雄飛(早大) 写真:SportsPressJP/アフロ

 早大も前回6位に入ったメンバー9人が残っている。登録から外れた選手もいるが、出雲1区2位の菖蒲敦司(2年)、同4区区間賞の石塚陽士(1年)、全日本1区6位の伊藤大志(1年)ら〝新戦力〟が台頭している。

 ただし、今季は主力の足並みが揃っていない。中谷雄飛、太田直希(ともに4年)、井川龍人(3年)の10000m27分台トリオと日本選手権5000m8位入賞の千明龍之佑(4年)。この4人のうち、出雲は千明が外れ、全日本は千明と太田が欠場。ともに6位に終わっている。

 箱根駅伝で11年ぶりの総合優勝を狙うには太田と千明の〝完全復活〟と、2区と5区を区間上位で乗り切ることが必要不可欠だ。2区は前回、太田が区間13位だった。故障上がりの太田は負担の軽い区間にまわるのが濃厚。1区を希望しているエース中谷に出番がまわってくるかもしれない。3年連続で区間二桁順位に沈んでいる5区はルーキー伊藤が候補に挙がる。佐久長聖高出身の中谷と伊藤が名門ワセダの〝救世主〟になるか。

 

上位の戦力は2強に匹敵するレベルの國學院大 

2021年12月7日、全国大学駅伝、8区を走る 伊地知賢造(國學院大) 写真:SportsPressJP/アフロ

國學院大は昨季から「2年計画」でチーム作りをしてきて、今回の箱根が集大成となる。上位7人の戦力は駒大や青学大に匹敵するレベル。区間配置のパズルがうまくハマれば、悲願達成に近づくことができるだろう。

 7人というのは、10000mでチーム最速タイム(28分10秒30)を持つ藤木宏太、前回6区区間4位で全日本1区を3位と好発進した島﨑慎愛、出雲2区で区間賞を獲得している主将・木付琳(ともに4年)。前回2区を担った中西大翔(3年)、全日本8区で区間賞に輝いた伊地知賢造(2年)、出雲で最終6区に抜擢されて、全日本でもロング区間7区を区間3位と好走した平林清澄(1年)。それから箱根出場校の5区候補が参戦した「激坂最速王決定戦」登りの部で学生トップを飾った殿地琢朗(4年)だ。

 出雲駅伝(4位)はアンカー平林が熱中症で終盤苦しんだものの、青学大、東洋大との2位争いを途中までリードした。全日本大学駅伝は過去最高の4位に入っているが、殿地は出場していない。箱根駅伝では主力7人を序盤から並べるオーダーが有力。山でトップを奪うことになれば、過去最高順位(3位)の更新だけでなく、真っ先に大手町に帰ってくるかもしれない。

 シード校の東海大と帝京大も侮れない。東海大は今季10000mでU20日本歴代3位の28分05秒91をマークしている石原翔太郎(2年)が登録から外れた。しかし、神薗竜馬(2年)が出雲5区で区間5位、全日本5区で区間6位と好走。溝口仁(2年)と梶谷優斗(1年)が10000mで28分20秒台をマークするなど下級生に勢いがある。松崎咲人(3年)も2年ぶりに学生駅伝に復帰した。市村朋樹、長田駿佑、本間敬大ら4年生が奮起できれば上位争いに割って入るだろう。

 帝京大は4年連続でシード権を獲得中。前回(8位)出場した5人の4年生が主力になる。なかでも3区で日本人最高記録を持つ遠藤大地と前回5区で区間賞を獲得した細谷翔馬の区間は超強力。劣勢が予想される2区終了時で10位以内につけることができれば、ふたりのスペシャリストで〝大逆転〟も可能だ。

 前回、創価大が往路Vを奪ったように、優勝候補にミスがあるとレースの流れが大きく変わってくる。それぞれのストロングポイントを持つダークホース校が〝得意技〟を駆使して、混戦レースを抜け出すかもしれない。