4000万画素の〝ライカ〟登場!

 というわけであと数年は使い続けるつもりだったのだが、その気持ちを揺さぶる最新作が、数年ぶりに登場してしまった。その名も『ライカM10-R』。平たくいうと「4000万画素の〝ライカ〟」である。最近は1億画素を謳うスマホも登場しているくらいだから、画素数と描写の優劣はまた違った話なのだが、やっぱりより解像度の高い〝ライカ〟は魅力的である。当たり前といえば当たり前なのだが、その立体感は僕の『ライカM-P (Type240)』を凌駕する。

こちらは〝ライカ〟から取り寄せた作例。コントラストの強いピーカンでの撮影でも、いやなギラつきがなく、ナチュラルな写真になるのは〝ライカ〟ならでは。遠くに写っているレンガひとつまで見事に解像しているから、建物だけをトリミングして使っても、十分作品として成立するのだ

 国産のコンデジや一眼レフしかしか使ったことのない人に説明すると驚かれるのだが、レンジファインダー機であるM型ライカの特徴として挙げられるのが、「寄れない」こと。〝ライカ〟のM型レンズの最短撮影距離はほとんどが70〜100㎝であるため、いわゆるテーブルフォトや時計のように、近くのものや小さなものを撮影するのには不向きなカメラなのである。しかし4000万画素の〝ライカ〟であれば、トリミングしてもその画質を損なうことはない。これは遠くの被写体を強調するときにも効果的。すなわち〝ライカ〟ユーザーのジレンマを解決する1台なのだ。これは欲しくなるでしょう!

 

なぜ〝ライカ〟を買うべきなのか?

 解像度や低ノイズ性など、様々な面においてアップデートを遂げた『ライカM10-R』。しかし最も感心させられるのは使い勝手。すべての操作が理にかなっていて、体に染み込ませてしまえば、自分の脳や手と一体化したような感覚を得られる。機能をてんこ盛りにしがちな国産デジカメにも、この思想はぜひ見習って欲しい!

 最近、ファッション業界の友人から「僕もいいカメラを買いたいのだけれど、何を買えばいいのかな?」という質問を多く受けるようになった。その度にM型ライカの最新型を勧めるようにしているのだが、みんな「シロウトには難しくない?」と訝しがる。

 そんなとき、僕は「●●●●(国産高級デジカメ)が〝レクサス〟だとしたら、〝ライカ〟は空冷の〝ポルシェ〟『911』みたいなものかな?」と説明する。最初は少しだけ手間はかかるけれど、原理さえつかめば決して難しくはないし、長年愛せて、自分の世界を広げてくれる……。そんな喜びを味わいたいなら、あなたが今手に入れるべきカメラは、絶対に『ライカM10-R』しかない。

 

追記:現在はフィルム機の『ライカM-P』も所有し、どっぷりと〝ライカ〟沼で溺れている僕だが、これから挑戦しようという方にひとつ伝えておきたいことがある。〝ライカ〟の最初の一台としてフィルム機を推薦するマニアやプロ写真家も多いが、個人的には絶対にデジタルのM型ライカを買うべきだと思う。確かにフィルム機は一生モノだが、現在のフィルムの価格や現像代を考えると、上達するまでにコストがかかりすぎるのだ。まずはタダでいくらでも練習できるデジタル機で経験を積み上げてから、フィルム機に挑戦してほしい。