2019年7月にフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」がグランドオープンし、ホテルの新たな魅力となった。絶景のもと、現代的なフランス料理と銘醸ワインのマリアージュを楽しむひととき。泊まってこそ堪能できる至福の時間である。

郷土料理の潮汁「いちご煮」が、濃厚ソース仕立てのフレンチに。白ワインと相性がいい。

 ディナーは、渓流沿いのテラスで食前酒やおつまみを楽しむアペリティフからはじまり、その後、レストランでコース料理を堪能する。例えば夏は、冷前菜に鮪のタルタルとパプリカのあわせ。独創的なソース仕立てのいちご煮に続き、魚料理や肉料理、デザートまで、マリアージュも楽しい。

 フレンチのほか、夕食は2020年7月から「新ノーマルビュッフェ」を掲げて再開したビュッフェレストラン「青森りんごキッチン」もある。安全対策をしたビュッフェの再開要望がファミリー層を中心に多かったという。たくさんの種類の料理から、好きなものを好きなだけ味わえるのがビュッフェの楽しさ。3密回避の徹底、抗菌素材導入や小皿提供をはじめ、衛生管理を強化している。

ソーシャルディスタンスの案内にもデザイン性を感じたビュッフェレストラン「青森りんごキッチン」。

 

八甲田山から湧き出る温泉を堪能

四季を楽しむ渓流露天風呂。星野リゾートでは浴場の混雑状況を「見える化」するスマートフォンアプリを独自開発。

 奥入瀬は温泉も魅力だ。眼下に渓流が広がる「渓流露天風呂」は開放感抜群。八甲田山から湧き出る単純温泉が注がれ、硫黄の香りが漂う。大浴場はまだ不安という方は温泉付きの客室滞在はいかがだろう。中でも、そばまで渓流が流れる客室「渓流和室 露天風呂テラス付」がオススメだ。木造りの広めの浴槽にゆっくり浸かり独占。温泉に身を委ねることで日頃のストレスが軽減されるはずだ。

客室専用の温泉露天風呂で渓流美を堪能。

 温泉成分のおかげで血行促進され、体のめぐりがよくなり、夜は熟睡できて目覚めがすっきりしている。朝は自然の息吹が聞こえるほど静けさの中にある奥入瀬渓流。朝日で川の瀬がきらきらしている。空の青に映える山の緑や雲の白。空気が澄みきって気分爽快だ。

 

1日1組限定のプライベートツアー

 個人的に、旅先でネイチャーガイドと歩くツアーが大好きだ。北は有珠山から南は屋久島まで機会を見つけては参加した。奥入瀬渓流でもガイドツアーを体験している。

 初回は日本一のブナの巨木ツアー、2度目は苔ガールは宿泊プランのため、「苔さんぽ」あるいは、「苔を観察するツアー」、3度目は冬限定・氷瀑ライトアップツアー、そして4度目となる今回は「1日1組限定・奥入瀬渓流三密回避の安心プライベートツアー」で、奥入瀬渓流銚子大滝、蔦温泉ブナの2コースある(1組(1名~4名まで)22,000円)。

プライベートツアーでお世話になったネイチャーガイドの丹羽裕之さんと筆者。貸し出しリュックには、奥入瀬の自然を楽しむ図鑑やルーペ、双眼鏡が入っていた(渓流満喫セット、1650円)

 コロナ禍で観光客のいない奥入瀬渓流をガイドと歩いたのは2020年7月中旬のこと。生きるヒントをいろいろともらった気がする。取材メモ帳を見ると、「樹上着生、受容、多様性、湿潤、菌根、冬虫夏草、自然撹乱、自然淘汰、輪廻転生、共生・・・」などのワードが並ぶ。紙幅都合で「奥入瀬渓流三密回避の安心プライベートツアー」詳細はまたの機会を見つけて紹介できれば嬉しい。

 奥入瀬渓流は魅力的だな、温泉旅行って素晴らしいなと、旅を振り返るごとに思えて幸せな気持ちになるのだ。

ロビーの暖炉『森の神話』は、奥入瀬を愛した芸術家の岡本太郎さんが1991年、80歳で制作。遺作である立体彫刻の暖炉『河神(かしん)』も館内にある