競技は「リズムダンス」と「フリーダンス」
では、競技としてどのように行われるのだろうか。
シングルがショートプログラム、フリーの2つから成り立っているように、アイスダンスも2つのプログラムで競われる。リズムダンス(以前はショートダンスという名前だった)とフリーダンスだ。
リズムダンスは、シーズンごとに「テンポとリズム」が指定され、それに即して曲を選んで使用する。
例えば、平昌オリンピックが行われた2017-2018シーズンは、ラテンアメリカのリズムと決められ、チャチャ、ルンバ、サンバ、マンボ、メレンゲ、サルサ、バチャータなどから選ぶ必要があった。
一方、個性や表現がより豊かに体現されるのがフリーダンスだ。曲を自由に選ぶことができるので、そこにストーリーを込めたり、曲そのもののテイストを解釈して伝えようとしたり、カップルそれぞれに、自分たちの世界を表そうとする。
リズムダンス、フリーダンスともに、ステップやリフトなどやるべき要素が決められているが、採点基準は、はじめは分かりにくいかもしれない。シングルなら、例えばジャンプが回転数や種類に応じて基礎となる点数が定められていて、ジャンプのできばえで加点されたり減点されるように、選手それぞれの出来であったりどういうレベルの演技なのかを把握しやすい。
アイスダンスは、ステップをはじめ高度な技術が選手には求められるとはいえ、どうしても表現的な側面が強いから、採点の部分では見分けづらいところがある。
でも、細かなところが分からなくても、先に記したように楽しめるのがアイスダンスだ。ルールなどを把握していなくてもその世界を楽しむところからスタートし、少しつずつ覚えていけば問題はないと言えるだろう。
アイスダンスには息の長いカップルも珍しくない。2010年バンクーバー、2018年平昌の両オリンピックで金メダルを獲得したテッサ・ヴァーチュー、スコット・モイア(カナダ)。2009年からグランプリファイナル5連覇を果たし2014年のソチオリンピックで金メダルのメリル・デイヴィス、チャーリー・ホワイト(アメリカ)ら、名声と高い人気を誇るカップルがいる。
そうした世界に挑んできた日本勢がいる。次回は、高い壁を崩そうと奮闘してきた日本の選手たちと、日本の課題を取り上げたい。