アイマトリックス株式会社 代表取締役 小島美津夫氏
※本コンテンツは、2019年3月1日に開催されたJBpress主催「Digital Innovation Forum 2019 <春> ~デジタル変革によるイノベーションの実現~」での講演内容を採録したものです。
デジタル社会ならではの課題が発生中
デジタルイノベーションは、すでにさまざまな変化を社会に起こしています。例えば企業とそこで働く個人との関係もまた大きく変わりました。リアルな人間関係形成の場としての「飲みニケーション」が衰退する一方で、メールやチャット、SNSなどによるデジタルコミュニケーションが浸透しています。こうしてビジネス上でも、プライベートにおいても、人と人との結び付きの多くがデジタル技術の上で行われる一方で、労働力需要の高止まりと働く側の意識変革による流動性の高まりによって、新入社員定着率が65%ほどにまで下がっています。終身雇用が当たり前だった時代のような企業への従属感は薄れてきているわけです。
一方、企業の方はといえば、社会変化に伴い保有データやシステムの安全性・公開性・社会性がますます強く問われるようになりました。総務省通信利用動向調査(平成25~28年度) によれば、すでに97%〜98%の企業が何年も前から何らかのセキュリティー対策を実施しているにもかかわらず、情報漏洩などのトラブルは止まりません。ある調査報告書(※)によると、2016年は約1500万人のデータが流出し、想定損害賠償総額が3000億円近くにまで達しました。これまでの安全性対策の成果として、外部から入り込んでくるリスク、すなわちウィルスやハッキングなどへの対策は進んだものの、内部から外へ漏れてしまうリスクに的確な対策がなく、成果を上げることが難しくなっているのです。同時に公開性・社会性が問われる時代背景も手伝って、企業はコンプライアンスの徹底や、ダイバーシティーの許容、情報公開の進展など、さまざまな社会的クオリティーについての要請に応えなくてはなりません。
以上のように、個人と企業のそれぞれに変化が起きた結果どうなったか? 私たちは「会社and社員」という時代から「企業or個人」の時代へ推移しているのだと捉えています。企業と個人の双方が、互いを尊重し合い、同時に自律的な行動と安全性とを確保すべき。それがデジタル社会における大前提になろうとしているのではないでしょうか。
そこで効力を発揮するのもまたデジタルテクノロジーです。デジタルネットワーク上であらゆるコミュニケーションを行っている現代人は、今やそのメッセージングデータを活用することで「個人の見える化」を可能としました。この見える化をポジティブに生かしていくことができれば、個人の企業に対するエンゲージメントの向上を図る事はできますが、その反面、見える化された個人が悪い意味での「会社の顔」としてさらされるリスクも生じるため、企業は何らかの対応をしなければなりません。このような可能性と危険性への備えとして、アイマトリックスはAIを積極的に導入したメッセージング領域のソリューションを提供しています。
1日に2800億通が飛び交うデジタル・メッセージングにAIを導入
現代のデジタルコミュニケーションを調査した統計によれば、SNSやチャットアプリなどによるメッセージングよりも、メールの占める割合がはるかに高いことが分かっています。その数は実に2800億通。世界人口74億人でざっと割り算をしても、毎日1人当たり38通ものメールを送信している計算です。この圧倒的なデータを生かすことができたなら、企業も個人も自らのバリューを向上させることが可能になるのです。
世界におけるデジタル・メッセージングの現状拡大画像表示
アイマトリックスは、ネットワークセキュリティーソリューション・AI研究・開発に特化したベンチャー組織です。アイマトリックス独自開発製品「マトリックススキャン」は9年連続日本市場シェアNo.1(※)という圧倒的な技術の高さを誇り、現在日本のメールアカウントの約1/3(4200万件)以上のセキュリティーに貢献しています。長年培ってきたセキュリティーAI/ディープラーニング・機械学習・データ統計手法の応用などによってアンチウィルス・スパムの検知率向上を実現しており、その技術を更に進化させ送信メール上に現れるさまざまな「兆し」をリアルタイム検知し、企業から送信されるメッセージの評価や個人のエンゲージメント向上に貢献しようとしているのです。それが「KizAssy」AIフレームワークです。
以上のようなチャレンジを通じて、アイマトリックスは3つのバリューアップを実現しようとしています。1つ目はQuality Assurance。人間では気付くことができない情報漏洩につながる「兆し」をAIなどのデジタル技術が見付け出すことによって、個人と企業のクオリティーを守る。つまり、品質管理におけるバリューの向上です。2つ目はHuman Optimization。デジタル・コミュニケーションに表れる新しい発見や小さな変化を数値化し、見える化することで、これまで埋もれていた個人の能力や課題の分析が可能になります。個の才能を発見し、磨き上げていくことによって、企業の力の向上にもつなげることができるのです。そして3つ目がBusiness Evaluation。企業が保有する送信メールデータをAIで解析します。これにより眠っている送信メールデータを可視化し、新たな価値を与えます。誰もが的確かつ容易にビジネスの現状を把握でき、戦略的な意思決定の助けとなるデータを提供することで、迅速なビジネスデシジョンや従業員とのエンゲージメントの向上につなげることができます。さらに多言語モニタリング機能により、海外支店、支社、現地工場の従業員に対しても同様のバリューアップを導きだし、競争優位性を生み出すことが可能となります。直感的に操作できる当社のプロダクトを導入するだけで、特殊な訓練を受けたデータサイエンティストがいなくても、誰もがAI技術のビジネス活用をできるようになります。
AIが個人・企業のバリューを高める拡大画像表示
デジタルはどんどん世の中を変貌させています。ポジティブな側面も大いにありますが、リスキーな課題もまた存在しています。しかし、ポジティブな側面をさらに伸ばし、リスクある課題の解決を図っていく上で効果を上げていくのもまたデジタル技術。アイマトリックスは今後も、こうしたデジタルの可能性を追求しながら、個人と企業双方のバリュー向上に貢献していきたいと考えています。
(※)日本ネットワークセキュリティー協会(JNSA)が発表した2016年情報セキュリティーインシデントに関する調査報告書
(※)情報セキュリティソリューション市場の現状と将来展望 【外部攻撃防御型ソリューション編】株式会社ミック経済研究所 2010~2017 年版/サイバーセキュリティソリューション市場の現状と将来展望 【Web&メールセキュリティ編】株式会社ミック経済研究所 2018 年版
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