高校生への「起業力」教育が日本の社会を変えていく

数字で見るオープンイノベーション(11)

市川 隆治/2018.12.19

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スウェーデン西部ヨーテボリのチャルマース工科大学(Lindholmenキャンパス)。同校は1997年に“Chalmers School of Entrepreneurship”を発足させた。 Photo by Blondinrikard Fröberg, under CC BY 2.0.

 日本のオープンイノベーション促進には何が必要なのか? 通商産業省/経済産業省で貿易振興、中小企業支援などに携わり、現在はベンチャーエンタープライズセンター理事長を務める市川隆治氏が、諸外国の実例とデータに基づき、オープンイノベーションの環境について議論を重ねていく。(JBpress)

【第10回】「フランスの起業を変えたマクロン大統領と『Station F』」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54789

戦略的な小中高レベルの起業家教育

全体で300ページを超える“Entrepreneurship Education at School in Europe”レポートの表紙。

 ヨーロッパにおける起業家教育全般については、2016年の“Entrepreneurship Education at School in Europe”レポートに詳しい。全体で300ページを超える大作であり、後半には各国別の報告もある。

 同レポートによれば、ヨーロッパで最初に起業家教育の重要性を指摘したのは2003年の“European Green Paper on Entrepreneurship in Europe”ということである。シリコンバレーが花開いたのが1980年代ということを考えると、意外に遅かったと言えるのではないか。これが、教育と起業文化の発展とをリンクさせた、最初のEUの政策提言であるという。

 エストニアの教育改革については、既に第4回で触れたところであるが、このレポートの国別報告においてもエストニアは光っている。

「起業家教育は、小中高レベルで一般的能力およびカリキュラムをまたがった目標として、明示的に国のカリキュラムの中で認識されている」

「国のカリキュラムにおいて、起業家教育の学習成果は次のように定義されている。
・小学生レベルでは、例えば、モノを買うにはお金を払う、お金は仕事をして稼ぐということを理解し、また、他の子と協力するノウハウを学ぶことが期待される。
・中学生レベルでは、例えば、異なる教育レベルの人たちの労働市場における機会を理解し、また、所有者、起業家、雇用主、従業員や失業者となることの意味を知ることが期待される。
・高校生レベルでは、例えば、職業選択のひとつとして起業があることを理解し、また、自分たちが起業家となることが可能であることを理解することが期待される。」