カオスが強み、イスラエルが第2のシリコンバレーに

数字で見るオープンイノベーション(8)

市川 隆治/2018.11.15

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テルアビブの町並み。 Photo by aharon mizrahi, under CC BY 2.5.

 日本のオープンイノベーション促進には何が必要なのか? 通商産業省/経済産業省で貿易振興、中小企業支援などに携わり、現在はベンチャーエンタープライズセンター理事長を務める市川隆治氏が、諸外国の実例とデータに基づき、オープンイノベーションの環境について議論を重ねていく。(JBpress)

【第7回】「2万人の高校生が熱狂、起業家教育の国際大会」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54543

成長と変化を続けるイスラエル

 さて、前回までは、米国シリコンバレーの高校生に対する起業家教育を見てみたが、イスラエルのテルアビブ大学にも訪問したことがあるので、今回はそれを紹介してみたい。

 2015(平成27)年3月初めにイスラエルを訪問する機会を得た。経済省、経済省OB、インキュベーター、VC、起業家と、ベンチャーエコシステムを形成する面々に個別にヒアリングをしたが、日本として大いに学ぶべき点があるとの強い印象を持つことができた。通常、同国の報道は政治関係に偏っているが、実は経済面での底力も忘れてはならない。

 イスラエルは、人口約870万人、面積は四国程度の国ながら、国民1人当たりのVC投資額、R&D投資額の対GDP比率、米国NASDAQ上場の米国以外の企業数、ノーベル科学3賞受賞者数のいずれにおいても世界で1、2を争う経済、科学技術先進国である。また、ベンチャー企業が8000社を数えるといわれる起業家国家でもあり、経済大臣も既に2度イグジット(exit)を経験した起業家であるとも聞いた。

 かねて1990年代のソ連崩壊に伴うロシアからのユダヤ系高級技術者、科学者のイスラエルへの移住と兵役における最先端の研究開発、および仲間づくりが同国におけるベンチャー開花の要因とは聞いていたが、それらの点は、特に初期の制度設計をした経済省OBの口から聞くことができた。