最初の段階ではなるべく低コストなものから試す

 ボトルネックが見つかったら改善に取り組みます。改善のアイデアを出し合って、実際に取り掛かりますが、うまくいくかどうかは、やってみないとわかりません。そのため改善のアクションは、最初の段階ではなるべく低コストで実現できることを考えます。

 業務改善は一回限りで終わるものではないので、試してうまくいけばいいし、ダメだったらまた別の方法を考えたらいいのです。

 安易にシステム開発をしてしまうのは悪手です。システム開発をするとなると、それなりの期間とコストがかかります。コストをかけてしまうと、実際に使い物にならなかったとしても捨てるのが忍びなくなり、無理して使うことになりがちです。

 それに、すべての問題を解決してくれるシステムを作ろうなんて大上段に構えても机上の空論になりがちです。業務改善は、すでに動いている業務があるため、現地現物を大事にしたうえで工夫を組み合わせる方が効果的です。

 まずは世の中にすでにあるツールやサービスを活用できないかを考えます。それも最初はシンプルなものの方が現場では使いやすいはずです。さらに言えばITを使う前にアナログでも解決できることもたくさんあります。

 今あるものを捨てるのではなく、今あるものを工夫して、良くしていくハックの精神が求められます。

業務改善は雑用ではない

 これまで、私たちの会社で行ってきたさまざまな業務ハックの例を紹介しました。そんなことできるのは私たちの会社がIT企業だからだろうと考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

 工業部品の輸入卸をしている大阪の会社では、倉庫の管理業務を業務ハックしたことで、紙で扱っていた注文書がなくなり、クラウドで管理できるように改善されました。それによって、担当者は実際に倉庫まで行く必要がなくなり、在宅勤務できるようになりました。