VRを利用した安全管理の疑似体験トレーニングは、危険状態を仮想空間の中で身をもって体験して安全意識の向上を高めるのに役立つ(写真はイメージ)

 IoTによる生産革新は、決して先進的な大企業ばかりが恩恵を得られるわけではない。むしろ限られた人材や設備でものづくりを行っている多くの中小企業にこそ大きな可能性をもたらすものである。

 日本能率協会コンサルティング(JMAC)では、IoTデバイスを使いこなす強い現場づくりを目指すために「現場IoT7つ道具」を提唱している。

 現場IoT7つ道具とは、現場の見える化の対象を「位置(Location)」「作業(Operation)」「場面(Situation)」「稼動(Availability)」「数量(Count)」「品質(Quality)」「危険(Hazzard)」の7つとし、これらの対象をセンシングし、データとして蓄積、解析することで次の生産活動につなげる手法である。

 7回目となる今回は、この中から生産現場の場面を捉える「IoQ」(品質のIoT)、「IoH」(安全のIoT)についての考え方と取り組み事例を紹介する。

◎連載「実践!IoTを使った現場改善」(バックナンバー)
(第1回)製造現場にIoT、一体何ができるようになるのか
(第2回)縦横無尽に動く工場のフォークリフトを追跡せよ(IoL/位置)
(第3回)工場従業員の作業実態をセンサーで把握する(IoO/作業)
(第4回)生産現場の不良や故障、その瞬間を捉えて対策を(IoS/場面)
(第5回)明日の生産計画は設備の稼働状況データから(IoA/稼働)
(第6回)生産現場の「カウント」に労力をかけ過ぎていないか(IoC/数量)

品質の確保~デジタル画像データとタグを活用

 今回は生産現場における「品質」や「安全」の確保に役立つIoTの活用について説明する。

 JMACではIoTを活用した品質分析ツールを「IoQ」、安全などに関係する危険予知分析を「IoH」と呼ぶ。どちらもリスクを予測して、異常の発生を防止することが狙いとなる。