IoT(Internet of Things)の最新ニュースや企業&ベンチャー事例(ケーススタディ)ほぼ毎日掲載

イノベーション
2017.07.24

現場カイゼンだけ? 日本の工場IoTの残念な現状
欧米流の「経営改革のIoT」まで昇華できるか

BY

 工場IoTにとどまらない「ものづくり企業の経営改革IoT」が普及すれば、ある程度の生産性向上の方策は、ベストプラクティス(テンプレート)として購入可能になってしまうだろう。

 経営者が本当に考えるべきは、そういった差別化が困難な経営状況の中で、自社が本当に強みとするべきは何なのか。品質なのか、コストなのか、あるいは顧客対応の柔軟さやOne2One*6生産への対応力なのか。また、それらを実現するためには、製造現場を始めとする各機能部門に何を求める必要があるのか。ベーシックな生産性を満たすことはもちろんのこと、加えて求めるべきは何か。徹底した品質なのか、One2One生産に対応するフレキシビリティなのか、その両方のバランスなのか・・・。

 そういった具体的な要求・指示が行われていないために、生産現場はIoT活用方策の検討を指示されても手に余り、従来型の生産性向上検討の延長線上の活動しかできていない。それが日本のものづくりIoTの現状であり課題なのではないかと懸念している。

 日本流の「現場カイゼンのIoT」と、欧米流の「経営改革のIoT」は非連続なものである。経営改革のIoTを実現するためには、製造現場に閉じたシステムではなく、ERP*7やSCM*8、PLM*9、MES*10といったものづくりITとIoTが高度に連動する、ITとIoTの協調システムの検討・構築が必須である。

日本的IoTと欧州的IoTの比較。

 もし、日本における経営改革IoTへの理解度が高まらなければ、日本におけるIoTブームは、経営変革まで行き着くことなく現場カイゼンのIoT止まりで収束してしまい、2~3年後には「IoTもバズワードだった」と総括されかねないのではないか。

 そうなれば、その間に経営レベルのIoT活用を志向している欧米企業に大きく水を開けられ、エレクトロニクス産業に次ぐ「デジタル敗戦」が、日本のものづくり産業のあちこちで起こり始めないとも限らないのである。

*6=One to One。受注生産。

*7=Enterprise Resource Planning。企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のこと。

*8=Supply Chain Management。物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメント手法。

*9=Product Lifecycle Management。製品に関するマーケティング、企画、製造から販売、保守、廃棄までのライフサイクル全般にわたる情報、製造・販売コストや部品供給会社など外部の関連情報までを包括的に管理すること。

*10=Manufacturing Execution System。工場の生産ラインの各部分とリンクすることで、工場の機械や労働者の作業を監視・管理するシステム。

JBPRESS

あわせてお読みください

記事ランキング

  • 直近1時間
  • 昨日

話題のキーワード

注目連載

あわせてお読みください

IoTニュース

100円SIM活用!“IoT見守り”はAIで進化する
IoT活用やプログラミング必修化を視野に入れた玩具も--東京おもちゃショー2018
築46年の団地をIoT家電家具付きでフルリノベ--家事ストレスゼロの家
KDDIと日立がグローバルIoT事業で協業、幅広い産業へ展開
山田祥平のニュース羅針盤 第128回 三者三様のCOMPUTEX、PC市場の鍵を握るのは?
ネットワンシステムズ、製造業向けIoTソリューションの提供開始
Microsoft、IoTの安全な運用を支援する「Windows 10 IoT Core Services」を発表
ネットワン、工場のデジタル改革を加速するIIoTソリューション
KDDIと日立がグローバルIoT基盤で協業、世界50カ国以上の現地キャリアと直接接続 | IT Leaders
MaaS時代に伸びる組み込みカメラ技術市場…エンベデッドビジョン
ソラコムがIoTテクノロジー・スタートアップのピッチ参加者募集、前回1900名規模「SORACOM Conference “Discovery” 2018」
IoTプラットフォームを第2の柱に--ARM
FiNCとNEC、人間の歩行に着目したソリューション(ニュース)
ボッシュ、日本国内での2017年売上高は前年比10%増、IoTの活用によりさらなる成長を見込む
日立とアマダ、IoT基盤「Lumada」を活用したモデルを構築
アマダがIoTソリューション「V-factory」を本格展開、”つながる機械”で中小企業の板金加工をサポート ―スマートファクトリーJapan 2018

IoTニュース”は、Mynd Engineを活用して、世の中のIoT関連の記事をまとめさせていただき、ご紹介させていただきます。