アンダーアーマーのケビン・プランクCEO(2014年3月撮影)。 Photo by University of Delaware Alumni Relations, under CC BY-ND 2.0.

 今年(2017年)1月に米ラスベガスで開催されたCES(家電見本市)。

 ショーの主役交代を強烈に印象付けたキープレーヤーがGPU(画像チップ)メーカーのエヌビディア(NVIDIA)とスポーツ用品製造業のアンダーアーマー(UNDER ARMOUR)の2社であることは広く衆目の一致するところであろう。

 かつて液晶テレビやスマートフォンが花形だった家電の見本市の大舞台において、エヌビディアは独自開発した人工知能(以下AI)を武器に自動運転サービス市場へ、アンダーアーマーは「IoTを活用したウェルネスとフィットネスサービス業」へ参入することを、それぞれの基調講演の場で高らかに宣言したのである。

 両社に共通する点は、本来は「家電」というコンシューマを相手とする業界とは距離のある存在でありながら、ともにAIやIoT技術を活用することで企業の「なりわい」を大胆に転換することを経営トップの強い意思で推進しようとしているところにある。

 エヌビディアについては今年3月に寄稿した「自動運転とAIの到来が描く『製造業に不都合な未来』」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49411)で詳しく書いたので、今回はアンダーアーマーの「なりわい」変革について追いかけてみることにしたい。

「売り切り型ビジネス」から「新たなタイプのサービス業」へ

 米国メリーランド州ボルチモアに本社を置くアンダーアーマー社。

 わずか創業20年でスポーツ用品企業としてナイキ、アディダスに次いで世界のトップ3に成長した。

 その名の通り、ユニフォームの下に着る、身体に密着したタイプのアンダーシャツ(ユニフォームの下に着る鎧=アンダーアーマーがブランド名の由来)を流行らせたことで、スポーツ用品業界でもひときわ異彩を放つ存在だ。