終了はやむなし、「シビック」38年の変容

時代の変化とともに希薄化していった存在感
2010.12.17(金) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
3代目「ワンダー・シビック」のイメージリーダーともなった低いシルエット、ロングルーフの3ドア・ハッチバック。今日に至る日本、欧州のシビックの商品イメージを作ったモデルでもある。(写真:ホンダ、以下同)
キャビンをスクエアに、上に広げて様々な使い方ができる空間を生み出す、という発想を形にしたシビック・シャトル。今日では乗用車の1ジャンルとして定着したが、4半世紀前の量産小型車としてはかなり斬新な存在だった。
シビック3ドア(3代目)とエンジンベイ~前席まではほぼ共通にしながら、より低く、後席を必要最小限まで切り詰めて、運動性指向を強め、スポーティパーソナルカーに仕立てた初代「CR-X」。MM思想を標榜したパッケージング思想が伝わってくる側面レイアウト図面。
拡大画像表示
米国で求められるパーソナルユース主体でファッション性もある実用車、というジャンルに対応した5代目シビック・クーペ。仕向け地別に製品企画を分ける、という戦略の一例であり、兄貴分のアコード・クーペとともに一時は日本にも投入されたが定着せず。
現行7代目で、プラットホームまで米国他向けモデルとはまったく別物にした、ユーロ・シビック。3ドアに見えるが後席ドアの開閉ハンドルを側面ウィンドウ後端部に隠した5ドア・モデル。高性能エンジン搭載モデル以外、この「シビック」に日本市場での可能性がないと判断したのはなぜか。
こちらは北米市場向け7代目シビックのクーペモデル。ホンダ以外の日本メーカー、特に日産自動車、トヨタ自動車は「仕向け地別製品企画」を展開しているが、日本向けは欧米、さらに途上国向けよりも「地味な」、別の表現をすれば「手が縮こまった」スタイリングばかりになっている。このUSシビック・クーペの姿形を好む層が日本にはいない、わけがない。
日本に唯一残っていたシビック。ほとんどの消費者はこのハイブリッド仕様以外、シビックというモデルの存在を知らないのに近い。つくり手側、売り手側が、何のメッセージも発信していないからだ。その「発信」は別に広告などでアピールすることだけではない。クルマそのものにつくり手のメッセージが込められていないと。

産業の写真

ソニーから独立して10年、ノジマグループとなるPCメーカー「VAIO」社長が語る“純国産”メーカーのこだわり
原子力発電、再稼働しないことで生じるリスクに目を向けよ 規制委に便益とのバランスを求める制度が必要だ
自らの感覚を信じ、SUBARUでの自動運転の実現を目指した技術者の半生
問屋を通さないアイリスオーヤマの「メーカーベンダーシステム」、“物流で市場を制する”仕組みとは?
日揮HDのデジタル戦略・IT統括ユニット部長が語る、サイバーセキュリティマネジメントと実践からの学び
ヘルスケア・メディカルに特化した「Another Kao」なぜ花王はソリューション領域を目指すのか?

本日の新着

一覧
次々に新設され、大半が消えていくアートアワード、18回目を迎えた「AATM」が支持される理由
東京丸の内・行幸地下ギャラリーで「Window Gallery in Marunouchi―from AATM vol.2」が開催
川岸 徹
二馬力選挙があだ花に、刑事告発が受理された斎藤兵庫県知事、再失職への道
捏造ゴシップ、メディア濫用での有権者マインドコントロールが明らかに
伊東 乾
ドイツで震え上がるシリア難民、アサド政権崩壊で「帰還案」…極右・移民排斥論の台頭で瀕死の「欧州の良心」
楠 佳那子
米国金融市場、「究極のバブル」はどう弾けるのか?――ルチル・シャルマ氏寄稿
Financial Times
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。