CVTへの強烈なアンチテーゼ?
独ZFの新型トランスミッション「9HP」の洗練ぶり

2013.7.10(水) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
シェア85
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
世界各国から集まった自動車分野のジャーナリストたちがまずはZFの技術ビジョンと最新技術のプレゼンテーションを受ける。この日は日本を含めてアジア・パシフィック地域から集まったメンバーが主体だった。(写真提供:ZF)
ジャーナリストに向けて総合的なビジョンと、背景に映る9HPをはじめとする技術群の概要を語るZFの経営会議メンバー7人の1人、ミヒャエル・ハンケル工学博士。パワートレインとシャシー全体の責任者でもある。(写真提供:ZF)
まもなく市販車に搭載されて市場に現れるエンジン一体横置きするレイアウトに対応した9速オートマチックトランスミッション「9HP」。内部構造を示すための断面透視図である。図の左手前がエンジンとの結合面で、円環状の空間を持つ大きな部品がトルクコンバーター。そこから右奥に向けて4組の遊星歯車とそこに回転を伝えたり、固定したり、開放したりする変速機構(多板クラッチなど)がびっしりと組み込まれている。手前側の断面に小径の歯車が3つ見えているが、これらは内外に組み合わされるギアセットの中間位置にあって自転と公転の両方を行う「プラネタリーギア」。図の左手前側に張り出している部分が最終減速ギアとデファレンシャルギアを一体化した駆動軸出力部分。(図版提供:ZF)
拡大画像表示
9HPの変速を作り出すプラネタリーギア(遊星歯車)4組を取り出した展示。おそらく今回のワークショップが世界初公開。この写真では右手がエンジン側となる。遊星歯車組を分離しているので、右側に2組、同じサイズのプラネタリーギアが見えている。それぞれ左側に見えるリングギアの中に組み込まれる。この連星系のような歯車組が相互に回転したり、一体に回転したりすることで異なる変速比が得られる。中央あたりに見える比較的大きな歯車は、内側に小さな遊星歯車組が組み込まれていて、外周に切られた歯車が左端の大きなプラネタリーギアの内側に組み込まれるサンギアとなり、内外二重の遊星歯車組を形成する。その手前に置かれている小さめの円筒形部品は、チェーンで駆動されるオイルポンプ。これも内部損失を減らす設計手法の1つ。(写真:筆者)
拡大画像表示
遊星歯車組が並ぶ主軸上に設けられたドグクラッチの噛み合い部分。軸の周上に切られた細い溝が、その上に入り込むリング状部品の内面に切られた同じ形状の溝・山と噛み合うことで回転を伝える。一般的な湿式多板クラッチはつながりはスムーズなのだが、開放状態でも摩擦面同士の間で「引きずり」が残る。これに対してこの純機械的結合機構だと、切り離した状態での引きずりを最小限に抑えられる。外側のリングが最初に接触する面(写真では左側)が斜めになっていて、接触して回転を同調させる効果を生む。(写真:筆者)
今回、ジャーナリストの体験試乗のために用意されていた9HPを搭載するレンジローバー・イヴォークの開発実験車が、ドイツの日常的道路環境を駆ける。2リッター・ガソリンエンジンとの組み合わせは、すでに市販車としても相当に洗練されたレベルに到達している。9速化による巡航時エンジン回転の低下、そこから細かく変速比を変えて必要な力を瞬時に引き出す能力を実際に体験した。(写真:ZF)
外観、内装ともに現行イヴォークそのものだが、開発車両であることを唯一示していたのが、ダッシュボード中央に仮設されたディスプレイ。左側列の上部にエンジン回転、下部には次に選択する可能性が高いと判断して変速準備を始めたギアポジション、実際に入っているギアポジションなどが表示され、限られた時間の中での「味見」にはとても有益だった。(写真:筆者)
拡大画像表示

産業の写真

【ホンダ・日産統合協議の裏事情】日産狙う鴻海、ゴーン級の大リストラを経産省に提案か…鴻海+3社連合が理想形
日本の自動車産業史上最大となる日産とホンダの経営統合、三菱自も加わって“三方よし”のシナジーを発揮できるのか
Google系ロボタクシー、次の停車地は東京とマイアミ
ホンダ・日産の経営統合でクルマはどう変わる?カギ握るホンダのハイブリッド技術、説明会が「ギリギリ」だった理由
【ホンダ・日産経営統合協議へ】ダイハツ不正が高めた軽自動車の業界再編機運、スズキとホンダが焦点
【ホンダ・日産経営統合協議へ】日産の新中計「100万台増」から透けるEVシフトの不透明感…どうなるホンダとの協業
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。