ただでは吹かない自動車業界の順風

円安という「好材料」を生かせるか?
2013.1.16(水) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
アメリカの年間新車(乗用車系)販売台数の推移。1999年以降、リーマン・ショックに直面する2008年までは活況を呈していたこと、すなわち「世界バブル」を体現していたアメリカの状況が表れている。リーマン・ショックからの回復は2年後の2010年には現れ、そこからは直線的に上昇が続く。不況と言われつつも「クルマは欲しい」アメリカ人の生活が表れている。乗用車(cars:青線)とSUVやミニバンを含む小型トラック(light trucks:赤線)の販売量の推移にも注目されたい。
(「WardsAuto.com」掲載のデータを基に作成)
拡大画像表示
2011年と2012年のアメリカ合衆国の新車(乗用車系)販売台数を、メーカー別に整理して市場シェアが「見える」円グラフにしてみた。販売総量の伸長よりも伸びが少なかったGMとフォードのシェアが少し縮小しているが、いまだに「ビッグ3」が45%のシェアを維持している。日本車のシェアは横這いだが、韓国勢の市場浸透は以前から指摘しているように「安さ」だけではなく、アメリカで求められる日常生活の一部としてのクルマとして、日本車と肩を並べるレベルになっていること、特にキアはスタイリングの訴求力が高いことなど、相当に手強い。ドイツ勢は上級ブランドが定着しているが、フォルクスワーゲンの浸透努力が本格化すればシェアを拡大する可能性が高い。そこで「食われる」のはまず日本車となろう。
(「Autodata」の公表データを基に作成)
拡大画像表示
参考までに、リーマン・ショック直前(2007年)のアメリカ新車市場の状況、日米メーカーのシェアを示した円グラフ。5年前でまだ「ビッグ3」は半分超のシェアを占めていた。これ以後数年をかけてアメリカ車のシェアが低下した分が韓国勢に置き換わった形である。日本車のシェアは今と大きく違わない。アメリカの市場は巨大なだけに「消費の慣性」も大きく、ユーザーの中に日本車のかつての良いイメージがまだ「伝説」として残っているから、シェアも維持できているが、製品力の低下が実感されてしまうと回復は非常に難しくなる。

産業の写真

ソニーから独立して10年、ノジマグループとなるPCメーカー「VAIO」社長が語る“純国産”メーカーのこだわり
原子力発電、再稼働しないことで生じるリスクに目を向けよ 規制委に便益とのバランスを求める制度が必要だ
自らの感覚を信じ、SUBARUでの自動運転の実現を目指した技術者の半生
問屋を通さないアイリスオーヤマの「メーカーベンダーシステム」、“物流で市場を制する”仕組みとは?
日揮HDのデジタル戦略・IT統括ユニット部長が語る、サイバーセキュリティマネジメントと実践からの学び
ヘルスケア・メディカルに特化した「Another Kao」なぜ花王はソリューション領域を目指すのか?

本日の新着

一覧
米駐日大使のお値段は6000万円、指名されたのは対中強硬派のグラス
昭恵・孫に相次いで面会したトランプ、石破を後回しにするわけとは
高濱 賛
二馬力選挙があだ花に、刑事告発が受理された斎藤兵庫県知事、再失職への道
捏造ゴシップ、メディア濫用での有権者マインドコントロールが明らかに
伊東 乾
トランプ暗殺未遂「奇跡の一枚」だけじゃない、ピュリツァー賞写真家は「あの瞬間」をどう撮った?
2024年を振り返る:トランプ氏の「薄毛」に関心?構図にこだわる写真家魂【JBpressセレクション】
JBpress
米大統領選はトランプ圧勝、減税恒久化などで米財政赤字は1000兆円増確実
2024年を振り返る:コンクリート天井打ち破れなかったハリス、上下両院制覇で共和党天下に【JBpressセレクション】 
高濱 賛
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。