高価格な車が「高級な良品」だった時代は
過ぎ去ったのか?

2012.10.10(水) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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最新の「911」、タイプナンバー「991型」系列のモデル群。新旧比較に連れ出したのはエンジンの排気量が少し大きいカレラSのPDK(デュアルクラッチ・トランスミッション)仕様だった。間違いなく「速く」「高性能」かつ「ブランドを表現」した現代の高価格車らしくはあるが・・・。(写真提供:Porsche)
1989年から2003年まで生産された「964型」系列。この写真は舗装良路専用高運動性仕様の「RS」。この仕様設定ゆえにスプリングは硬かったが、筋力の強い四足獣を思わせる走りの資質は極めて印象的であり、今振り返ると「現時点までで最良のポルシェ」だったかもしれない。(写真提供:Porsche)
「964型」の透視図。これは前輪にも駆動力を伝えるカレラ4で、911系列に4WDが加わった最初のモデルだが、前後輪の間の回転速度差を許容するセンターデフを組み込み、その後の多板クラッチによる駆動分岐方式よりも車両運動全般が素直に仕上がっていた。前後を結ぶ駆動軸を収めた黒いパイプは車体骨格の「背骨」の中を通っている。(図版提供:Porsche)
最新の911カレラ(「991型」系)の透視図。運転席から前方の基本要素レイアウトはボクスターと共通であり、エンジンが後車軸より後方に位置していて、その前方にぎりぎり人間が座れる後席空間があるのが911のアイデンティティ。リアサスペンションは5本の短リンクを組み合わせた構成だが、これが逆に車輪の位置決めが細かく動き、微妙に進路がずれることにも影響する。(図版提供:Porsche)
1996年に市場に投入されたボクスター(「986型」系列)の透視図。この図はエンジン排気量が拡大された2000年モデルのものだが、基本構成は現在の987型まで変わりない。2座コックピットの背後、後輪との間の「ミッドシップ」に6気筒エンジンが低く収まっている。水平対向の気筒配列の「低さ」が最も生きるし、それも含めて車両運動の素性に優れるレイアウトである。シートから前の基本要素配置とこの図には描かれていないが車体骨格の基本形は、4年遅れて現れる、それまでの技術潮流とは断絶した911(「996型」系列)と共通であり、そのまま今日にまで至る。(図版提供:Porsche)
今日に至るまで「4人の大人にゆとりある移動を実現する空間」として、パッケージングにおいても動質においても最良の資質を実現していたメルセデス・ベンツEクラス(「W124」系列。1985~96年生産。現行型から遡って4世代前)。ステアリングは今日ほとんど姿を消したリサーキュレーティングボールのギアボックスに、動きに応じた油圧を加えるアシスト機構を組み合わせているが、足まわりの素直さも含めてその資質を再現し、体験するだけでも、今しか知らない技術者が驚く良品である。(写真提供:Daimler)

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