文=福留亮司

チューダーのアイコンモデル『ブラックベイ』に、このブランドらしい機能を備えた魅力的なモデルが加わった。価格的にもこなれていて、今期、お勧めしたい腕時計のひとつである。

『ブラックベイ GMT S&G』
ブレスレット、レザーストラップ、ファブリックストラップの3種類がラインナップされた。自動巻き(Cal.MT5652)、ステンレススティールケース、41㎜径、63万4700円(ブレスレット)

ロレックスと同じハンス・ウィルスドルフによって創設

 長年待望とされていたチューダーが日本に上陸したのは2018年のこと。ただ創設が1926年で、その時点で90年以上の歴史を刻んでいたことや、創設者がロレックスと同じハンス・ウィルスドルフだったこともあり、時計ファンにおける認知度は当初からかなり高いものだった。時計自体もオイスターケースなど、ロレックスと共通のパーツが多いこともその人気に一役買っていた。

 とはいえ、まだわずか4年である。にもかかわらず、短期間に日本においてもトップの人気を誇るブランド、といっても過言でないほどに定着しているのだ。

 そんなチューダーにあって、その中核を担うのが『ブラックベイ』である。60年以上にもわたるチューダーのダイバーズウォッチの歴史を集約し、いまもなお進化し続けているコレクションである。

 今年は着用者がいる場所のローカルタイムを表示すると同時に、さらに2つの別の時刻表示を可能にするという、マルチタイムゾーンをカバーした『ブラックベイ GMT S&G』が登場した。GMTとは「グリニッジ・ミーン・タイム(グリニッジ標準時間)」のことで、通常の時針の他にもう一本時針(GMT針)を持っており、それがベゼルにある24時間表示を指すことで、もう一つの時間を表す機能である。

『ブラックベイ GMT S&G』の場合、細長いスノーフレーク針がGMT針にあたり、これがホームタイムを指し示す。ローカルタイム(現地時刻)は、短い方のスノーフレーク針によって表示される。この短針は、ジャンピングアワー式になっており、前後どちらにも調整可能ということである。気になる3つ目の時間は、ブラウン×ブラックに彩られた両方向に回転するベゼルの24時間目盛りを調整し、GMT針と組み合わせることで知ることができるのだ。

『ブラックベイ GMT S&G』
明るいブラウンのレザーストラップは、長さを調整しやすいフォールディングクラスプが装備されている。自動巻き(Cal.MT5652)、ステンレススティールケース、41㎜径、49万600円