普段のトレーニングで履いているのは?
鈴木の場合はロードでの距離走はアルファフライと同じく前足部にエアが搭載されている『エア ズーム テンポ ネクスト%』を主に着用。ジョグはナイキのベストセラーモデルである『エア ズーム ペガサス』とケガのリスクを軽減する設計になっている『リアクト インフィニティ ラン』を使い分けているという。
一山はアルファフライでスピード練習をすることが多いだけに、ジョグ時には『エア ズーム ペガサス』と『リアクト インフィニティ ラン』。それから疲労を感じているときにはクッション性の高い『ズームX インヴィンシブル ラン』を使用しているという。
「ひとつのモデルだけを履いていると同じ筋肉を使うかたちになります。でも、様々なモデルを着用することで、いろんな部位を鍛えることができる。アルファフライに頼らず、ペースによってシューズを履き替えるようにしています。たまに走りたくない日もあるんですけど、そういうときは好きなカラーのシューズを履いてモチベーションを高めていますよ」(一山)
4月29日から一般販売となる『エア ズーム ペガサス 39』もふたりはすでに着用している。前作までは前足部だけだったエアバッグを踵部分にも搭載。フィット感も高まり、さらにスムーズな体重移動が可能になった。
「足を通して、柔らかいなというのが第一印象でした。エアをすごく感じましたし、包み込むようなフィット感もある。ジョグはキロ5分くらいからキロ3分半くらいまでいけるんじゃないでしょうか。様々な場面で使用できる万能シューズだと思います」(鈴木)
昨季までは活動拠点(鈴木の富士通は千葉、一山のワコールは京都)が離れていたが、4月に一山が資生堂に移籍。活動拠点が近くなり、ふたりで過ごす時間が増えた。ポイント練習はそれぞれが所属しているチームで行うが、リカバリーのジョグは一緒に走ることもあるという。そしてマラソンランナーとしてお互いをリスペクトしているようだ。
「僕は目標に向かって取り組むときに、すごく迷ってしまうタイプなんですけど、彼女は決めた目標に対してまっすぐに突っ走っていく。そこはリスペクトできるところだと思っています」(鈴木)
「今回の東京マラソンは『調子が良くない』と言ってたのに25㎞から飛び出して、そこで勝負を決めました。私が同じ状況だったら絶対にできない。決断力と勇気はすごいなと思います」(一山)
今回のオンライン取材では、鈴木が回答に詰まった場面で一山がサッとフォロー。鈴木は勝負師のときとは異なり、自然な笑顔を何度も見せた。東京マラソンが終わった後は、ショッピングに出かけたり、外食をするなど、ふたりだけの時間を過ごしたという。4月に入り、次なる目標に向かって、徐々に本格的なトレーニングを始めている。目指すは7月後半に開催されるオレゴン世界選手権だ。
「僕はケガが多いので、練習をやりすぎないことを心がけています。なかなか達成できていないような気がしますけど、それは意識していますね」(鈴木)
「私もまずはケガをしないように気をつけています。練習環境が変わったので、1日の流れも大切にしたいなと思っています」(一山)
今度は同じジャパンのユニフォームでマラソンを走ることになる。「日本代表は初めてなので、失敗を恐れずにチャレンジしていきたい」と鈴木が言えば、一山も「私は昨夏の東京五輪(8位)で悔しい思いをしたので、今回は積極的な走りができたらいいと思います」とともに〝攻め〟のレースを見せるつもりだ。
「夫婦になって大変なこともあると思うんですけど、お互いに支え合うことが大切かなと思います」と鈴木。オレゴン世界選手権では夫婦で〝メダル〟にチャレンジする。