今どきのサウナは“熱くて苦しい箱”じゃない!

 田代さんのように、昔のサウナのイメージのせいでサウナに足を運ぶことをためらっている人も少なくないかもしれません。しかし、今のサウナはずいぶん様変わりしている福島さんは言います。

福島「昔ながらの“熱くて苦しい”サウナは、どうやら日本独特のものだったようで、本場フィンランドのサウナはそこまで温度が高くなく、さらにロウリュを行って湿度を高めます。ロウリュとはストーブ上のサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることですが、これを行うことでサウナ内が蒸気で満たされ、全身から汗が出て体が芯から温まるんです。このロウリュが注目されたおかげで、最近のサウナは温度と湿度が保たれた施設が多くなっていると思います。また、ブームということで新しくできたサウナや、サウナをリニューアルした銭湯などが増えて、本当に清潔で気持ちのよい空間がたくさん誕生しているんです」

 クオリティの高いサウナは口コミやSNSなどで拡散され、また、メディアへの露出機会の増加も相まって昨今のブームへと育ってきたということですが、改めてサウナの魅力とはどこにあるのかを、お二人に聞いてみました。

福島「なんといっても、その気軽さが一番の特徴です。近所の銭湯のサウナであれば、1000円以内で楽しむことができます。カッコいいウエアや性能の良いシューズもいらないし、道具やギアを揃えなくてもいい。ただフラッと行って小一時間ボーっとしていれば満足できるんです。こんな趣味って他になかなかないですよね」

田代「めちゃくちゃ手軽にリフレッシュできるところでしょうか。例えば、ランニングした後の爽快感を、ランニングせずに得られる感じ(笑)。つらいこと抜きで、頭がスッキリする心地よさや達成感だけ味わえるんです。これはクセにならないほうがおかしい!」

田代径大さん(イセタンメンズネット元編集長、MD統括部メディア運営担当)。小さいときに友達としばしば通った銭湯のサウナのイメージはあまりよくなかったのだかと。5年くらい前にふとサウナに入り、そこから虜に。「今では週に1~2回のんびり楽しんでいます」

なんでもあり、がサウナの魅力

 ユニークな表現でそれぞれが感じるサウナの魅力を語ってくれましたが、もう一歩突っ込んで、なぜ今サウナがこれほど世の中に受け入れられたのかも聞いてみました。

福島「これといったルールがなく自分が好きなように楽しめるところが、今の時代にフィットしているんじゃないかなと思います。スコアとか出来栄えで競争しなくていいし、そもそも裸なので、持ち物などでマウントを取ったり取られたりということがない。一人でも行けるし、家族や友達を誘ってもいい。そういう“なんでもあり”というところがいいのかなと」

田代「時代性ということで言えば、健康志向の高まりにも関係あるかもしれません。以前はストレス発散というと飲みに行ったりカラオケに行ったりというのが主流でしたが、最近はストイックな人が増えたのか、ストレス解消の方法も多様化していますよね。かといって、流行りのマインドフルネスは少し敷居が高いし、ヨガだと人目も気になる。でも、サウナなら年齢問わず男性も女性も誰でも行けるし、体にも良さそう。この辺が注目されている理由ではないかと思います」

 もはやサウナはブームではなく、多くの人の日常に根付きつつあると言うお二人。次回は、さらにサウナの楽しみ方を掘り下げます。