一方の東京国際大はエースの〝爆発力〟で駒大に勝る。出雲駅伝は1区山谷昌也(3年)がトップと5秒差で好発進すると、3区丹所健(3年)が快走。3区終了時で後続に、29秒差をつけて独走した。最後は6区イェゴン・ヴィンセント(3年)がリードを広げて、初栄冠に輝いている。

2021年10月10日、出雲駅伝、東京国際大学が初出場初優勝。ゴールするヴィンセント 写真=SportsPressJP/アフロ

 出雲は1区からの流れが良く、5000m13分50秒31の2区佐藤榛紀(1年)が3位をキープ。最終6区にヴィンセントがいるという安心感と、3区丹所が優勝への流れを引き寄せたことで、4区白井勇佑(1年)と5区宗像聖(3年)の好走を引き出した。全日本でも出雲のレースを〝再現〟したい。

 山谷、佐藤、丹所は前半のスピード区間での起用が有力。ヴィンセントは最終8区に入る可能性が高いが、大志田秀次監督はアンカー以外での起用も考えている。

 仮に田澤とヴィンセントが最終8区に配置された場合、どれぐらいの〝タイム差〟が勝負の分かれ目になるのか。ふたりは箱根駅伝で2度激突しており、3区と2区で区間新を叩き出したヴィンセントが圧勝している。1年時は3区(21.4㎞)で2分00秒、2年時は2区(23.1㎞)で1分38秒というタイム差をつけているのだ。

 全日本8区は19.7㎞。駒大とすれば最低でも「1分」の〝貯金〟は欲しい。7区終了時までに1分以上のリードを奪うには、東京国際大の山谷と丹所が入る区間で互角に戦い、つなぎ区間で貯金を積み重ねていくしかないだろう。両校の戦いはどんな結末が待っているのか。

 

青学大、早大、東洋大……注目の大学は?

 駒大と東京国際大を追いかける大学もレベルが高い。青学大は今季5000mと10000mで青学大記録を樹立した近藤幸太郎(3年)を軸に選手層が厚い。出雲ではアンカー横田俊吾(3年)が東洋大、國學院大との2位争いを制している。

 早大は出雲で6位に終わったが、全日本は前回(5位)の出走メンバー全員が残っている。中谷雄飛(4年)、太田直希(4年)、井川龍人(3年)の10000m27分台トリオが強力で、前回は3区中谷で首位に立つと、6区の終盤までトップを走っている。

 東洋大は主力を欠いた出雲駅伝で3位を確保。5000mの前高校記録保持者・石田洸介(1年)が5区でダントツの区間賞した。全日本には箱根5区で活躍した宮下隼人(4年)と同2区で好走した松山和希(2年)もエントリー。主軸が揃い、どんなレースを見せるのか。

 國學院大は「2年計画」の最終年を迎えて、戦力が充実している。出雲(4位)ではアンカーを任された平林清澄(1年)が熱中症で終盤に失速したが、2位を狙えるレース運びを演じた。藤木宏太、島﨑慎愛、木付琳(いずれも4年)、中西大翔(3年)、ルーキー平林の5人は駒大のレギュラー陣と互角に戦える実力を持つ。過去最高順位(6位)の更新だけでなく、トップ争い加わりたい。

 順大は東京五輪3000m障害で7位入賞の快挙を達成した三浦龍司(2年)に注目だ。出雲は欠場したが、10月16日の順大競技会10000mで28分32秒28をマーク。前回は1区で区間賞を獲得しており、今回はどんなインパクトを見せるのか。野村優作、伊豫田達弥、四釜峻佑(ともに3年)ら好選手が揃っており、上位進出も期待できる。

 前回2位の東海大はエース石原翔太郎(2年)と10000m28分21秒80の松尾昂来(2年)が登録メンバーから外れたが、両角速駅伝監督は「3位以内」を目指している。前回7位の帝京大は箱根5区区間賞の細谷翔馬、遠藤大地、中村風馬、橋本尚斗ら4年生が中心のチーム。序盤からうまく流れを作り、4年連続シードを確保したい。

 箱根駅伝予選会校のなかでは明大と中大がシード権(8位以内)を狙える戦力を持っている。明大は前回3位で、トラックで学生トップクラスのタイムを持つ鈴木聖人(4年)と手嶋杏丞(4年)、箱根予選会でチームトップの加藤大誠(3年)ら好選手が揃う。中大は9年ぶりの出場で、5000mでU20日本記録を持つ吉居大和(2年)の爆走が楽しみだ。

 前回は8位順大と9位國學院大との差が33秒だった。優勝争いだけでなく、シード権争いも熾烈になっている、シューズ(スパイク)の進化もあり、各校のトラック10000mタイムは急上昇。先日の全日本大学女子駅伝では6区間中4区間で区間新が誕生した。伊勢路でもスピード感あふれる継走を期待したい。