そして東京国際大が今回のダークホースになるだろう。出雲は「優勝」を目標を掲げており、箱根駅伝の2区と3区で区間記録を持つイェゴン・ヴィンセント(3年)の走力が突き抜けている。関東インカレ(2部)でも5000mと10000mで完勝。10000mでは日本人選手に35秒以上の大差をつけた。加えて、丹所健(3年)が日本インカレ5000mで3位に入るなど日本人エースに成長。山谷昌也(3年)は10000m28分29秒36のタイムを持っている。ヴィンセントが最終6区に入るのであれば、30~40秒のビハインドは十分に逆転可能。5区終了時までにどこまで粘ることができるのか。

2021年5月20、関東インカレ男子10000m決勝でのイェゴン・ヴィンセント(東京国際大) 写真=西村尚己/アフロスポーツ

 前々回の優勝校である國學院大はエース藤木宏太、日本学生ハーフ3位の島﨑慎愛、主将の木付琳(いずれも4年)、箱根で2区を務めた中西大翔(3年)の4人が10000mで28分台前半のタイムを持つ。平林清澄(1年)も今季28分38秒26をマークしており、上位5人は粒ぞろいだ。2年前は1区藤木が5位でスタートを切っているだけに、今回も序盤から好位置でレースを展開したい。

 帝京大は主将・橋本尚斗、箱根3区のスペシャリスト・遠藤大地、同5区区間賞・細谷翔馬ら4年生を軸に過去最高順位(5位)を上回る「4位以内」を目標に置く。選手層が厚く、長い距離に強いチームだが、今回は出雲でも上位を狙える戦力がある。

 エースを登録から外してきたのが東海大と東洋大だ。東海大は昨季の全日本4区、箱根3区で区間賞を獲得した石原翔太郎(2年)をエントリーしなかった。6月に故障があったため、駅伝は11月の全日本からの参戦になりそうだ。石原の穴を5人がエントリーしている同学年の2年生が補うことができるのか。

 東洋大も故障で出遅れていた主将・宮下隼人(4年)と箱根2区で好走した松山和希(2年)を登録せず、全日本に向けてトレーニングを積ませている。5000mで13分34秒74の高校記録を保持する東洋大・石田洸介(1年)の〝駅伝デビュー〟に注目したい。

 日本インカレ10000mで日本人トップを奪った関西学大・上田颯汰(3年)と同レースでケニア人留学生に唯一食らいついた立命大・山田真生(4年)の走りも楽しみだ。2人は1区もしくは3区での起用が濃厚。打倒・関東を掲げる地方大のエースたちが牙をむく。

 いよいよ開幕する三大駅伝。2022年正月の箱根駅伝へと続く壮大なストリーが始まる。