初の往路優勝に輝いた創価大

 正月の箱根駅伝も青学大、東海大、駒大が〝3強〟と呼ばれていたが、全日本以上に波乱のレースになった。1区は法大・鎌田航生が区間賞で飛び出すと、2区は東京国際大・ヴィンセントが13人抜きでトップに躍り出る。3区は東海大のルーキー石原翔太郎が区間賞を獲得して首位に立った。

 4区は創価大・嶋津雄大が日本人トップ(区間2位)の激走でトップを奪うと、創価大は5区三上雄大も区間2位と好走。前回区間賞の東洋大・宮下隼人を振り切り、初の往路優勝に輝いた。

2021年1月2日、箱根駅伝往路、5区を走る創価大の三上雄太 写真=日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ

 創価大は2019年2月に中大、旭化成で活躍した榎木和貴監督が就任。前回は3年ぶりの参戦で9位に入り、初めてシード権を獲得したチームだ。箱根駅伝のエントリー上位10人の10000m平均タイムは13位(29分05秒37)。わずか4回目の出場ながら19校目の往路Vを飾った。

 駒大は1区白鳥哲汰が区間15位と出遅れ、2区のエース田澤廉も区間7位。序盤で流れをつかむことができなかった。青学大は主将・神林勇太を3区に起用予定だったが、12月28日に右臀部仙骨の疲労骨折が判明。3区に入った湯原慶吾が区間14位と踏ん張ることができず、5区竹石尚人も区間17位に沈んだ。東海大は4区佐伯陽生が区間19位のブレーキになってしまった。

  3強がミスをしたことで〝優勝ライン〟が低下。そのチャンスを突いたのが創価大だった。1区福田悠一がトップと15秒差の3位で好発進して、2区フィリップ・ムルワで2位に浮上。3区葛西潤が区間3位と好走するなど実力をフルに発揮した。

 

復路での〝逆襲〟を狙っていた駒沢大

 往路を終えた時点で東海大はトップと3分27秒差の5位、青学大はトップと7分35秒差の12位。大逆転のチャンスがあるとすれば、往路3位の駒大だった。創価大との差は2分21秒。6~7区で一気に詰め寄り、復路での〝逆襲〟を狙っていた。

 往路でサプライズVを果たした創価大は復路も快調にレースを進めていく。6区濱野将基が区間7位、7区原富慶季が区間2位、8区永井大育は区間8位。追いかけたい駒大は6区花崎悠紀が区間歴代2位の快走で東洋大をかわして2位に浮上する。創価大に1分08秒差まで詰め寄った。だが7~8区は思うように接近できない。両者の差は8区終了時で1分29秒だった。

 9区は創価大・石津佳晃が区間賞の快走を見せて、両校の差は3分19秒になっていた。この時点で駒大・大八木弘明監督は「2位確保」に切り替えていたが、最後の最後で信じられない結末が待っていた。