ソフトバンクが実施する社内研修制度「ソフトバンクユニバーシティ(以下、SBU)」。社員の「手挙げ」を重視し、プログラムは幅広く提供するが、受講するかどうかは社員一人一人の自主性に委ねている。社員が自ら手を挙げ、チャレンジする文化をどう醸成してきたのか。設立時から長くSBUの運営に携わっている、同社コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部 人材開発部 部長の岩月優氏に聞いた。
「企業内大学」特集
「優秀な人材の確保」と「社員の能力向上」は企業競争力の鍵であり、「企業内大学」はそれを実現する取り組みとして注目されている。本特集では、「企業内大学」という形で積極的に人材育成に取り組む企業を取材し、これからの時代に求められる「学びの場の在り方」や、そこに表れる企業戦略をひもといていく。
■V字回復支えた「ファンケル大学」、現場復帰の創業者はなぜ設立を唱えたのか
■何を学ぶか決めるのは会社ではない 星野リゾートが麓村塾を続ける本当の狙い
■自主性重んじるソフトバンクの企業内大学、主役は勝手に燃える「自燃層」※本稿
<今後の掲載予定企業>
サントリーホールディングス、住友電気工業
※掲載企業は変更になる可能性があります。
社員の学ぶ意欲を重視し「手挙げ」にこだわる
――2010年に企業内大学としてSBUを設立しました。どのような背景があって設立したのでしょうか。
岩月優氏(以下敬称略) 当時、グループ内にはソフトバンクテレコム(旧日本テレコム)、ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)、ソフトバンクBBの3つの通信会社が存在していました。
当社の「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクグループ共通の経営理念を推進していくためには3社のシナジーを強化していく必要があり、各社の人事制度の統合・刷新に取り組んでいた時期に当たります。
その一環として、人材開発制度もリニューアルを図ることになり、3社それぞれのベストプラクティスを集約する形で2010年にSBUを設立しました。
なお、SBUのほか、創業者の孫正義を校長とする、ソフトバンクグループの後継者およびAI群戦略を担う事業家の発掘・育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」、社内起業制度の「ソフトバンクイノベンチャー」を含めた3つを、グループ全体の人材開発施策の柱として2010年から2011年の間に整備しています。