(左から)電通 メディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室 エグゼクティブ・メディア&デジタル・ディレクターの布瀬川平氏、電通 メディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室室長の林真哉氏(撮影:今祥雄)

 電通は2024年1月1日、メディアやコンテンツホルダーの変革を支援する専門組織「メディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室(MCx室)」を設置した。その背景には、長年、メディアビジネスやコンテンツビジネスの最前線に立ってきた同社の大きな危機感がある。 MCx室を率いる室長の林真哉氏と、同室が社内プロジェクトだった時代から深く関わるエグゼクティブ・メディア&デジタル・ディレクター布瀬川平氏に話を聞いた。

経営リソースを投じ、組織横断の新部署を設立

林 真哉/電通 メディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室室長

1994年電通入社、雑誌局に所属し出版社の広告枠セールス、雑誌を活用したプランニング業務を担当。2002から9年間、営業局(現ビジネスプロデュース局)にて大手AV&IT企業、衛星放送事業社を担当。2011年からプランニング部門でオンオフ統合プランニングを担当。2020年から第2統合ソリューション局(現マーケティング局)局長。2024年1月からメディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室長。

「MCx室」という名称だけを見ると、少人数の組織のように感じるかもしれない。だが、電通では「局」と同様に、一般企業の「部」にあたる「室」がある。MCx室は独立した「室」として設置され総勢80名ほどが所属しているというから、かなり大きな組織である。

「これまでは組織を横断した社内プロジェクトでしたが、本格的に経営リソースを投下し、メディアやコンテンツホルダーの変革を支援する取り組みをより一層強力に推進すべしという考えから、今年(2024年)1月1日にMCx室が設立されました」と語るのは、MCx室長の林真哉氏だ。

 電通がMCx室の設置に踏み切った背景には、メディアやコンテンツホルダーを取り巻く不可逆的な環境の変化と、強い危機感がある。

布瀬川 平/電通 メディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室 エグゼクティブ・メディア&デジタル・ディレクター

1996年電通入社、セールス・プロモーション局に所属しイベント・プレゼントキャンペーンなどプロモーション全般のプランニング業務を担当。1999年から16年間、インタラクティブ・プログラム・ガイド(現IPG)に出向、電子番組表サービスの立ち上げから安定化までの業務を行い、同社代表取締役就任を経て、2015年ラジオテレビ局に帰任。帰任後、主に次世代領域を担当し、STADIA、TVer広告、MIEROの立ち上げなどを担当。2024年1月からメディア・コンテンツ・トランスフォーメーションEPD。

 林氏は「デジタル化の進展により、企業と顧客との接点が大きく変化しています。この状況下で、テレビ、ラジオ、新聞、出版、OOHといった既存メディアの置かれた厳しい環境変化にも強い危機感を抱いていました。私たちMCx室は、メディアやコンテンツホルダーにフォーカスし、その変革の実現を支援したいと考えています」と語る。

 エグゼクティブ・メディア&デジタル・ディレクターの布瀬川平は、2019年に同室が前身の社内プロジェクトとして発足した当時からMCxに携わっている。

「私はラジオテレビビジネスプロデュース局に所属し、放送局の方々と長い間、一緒に仕事をしてきました。最近は放送局でも、周辺分野のビジネスに取り組み始めていますが、依然として視聴率・聴取率の高い番組を作り、その広告枠を売るというビジネスが中心です。生活者の価値観やメディアへの接触態度が変化しているわけですから、本来、メディアや広告の在り方も変化しなければなりません。メディアにおける新規ビジネスの創出をサポートするのもMCx室の重要なミッションです」(布瀬川氏)