成果報酬型のアメリカの雇用システムは、働く側にとって厳しくもあるが、同時に、それがエネルギーの源になっているとも言える。とはいえ、だからといってこの人材の流動性さえあれば、日本の働き方改革がうまくいくというわけではない。

「横並びに、すべての人に対して制度をがらりと変えなくてもいい。変えたい、変わりたいと思った人から変えられるような体制を整えるのがよいのでは」とセントジョン氏は、4つの視点を提唱する。

1.選択肢の幅を広くすること
2.チャンスを与えること
3.リスクをとる人を評価すること
4.変化を推進する人を叩かないこと

「組織に停滞感がある場合、社員が日系企業以外のところで業務経験できる機会を作るなど、多様な働き方や考え方を社内に取り込み、活力に変えていくやり方を考えるところから始めてはどうでしょうか」

 働く人個人ができることとして、セントジョン氏は「定期的に履歴書を書いてみること」を推奨している。

「実際に転職しなくても、転職を想定して履歴書を書くことで、自分を客観視できます。新卒で入ってきたグーグルの社員にも勧めていました」

 労働市場に提供できる自分の価値を適切に語れるようにしておくこと。それが、実際の業務においても、無駄なく、必要なことを見極めて仕事を進め、成果につなげるための第一歩につながるのではないだろうか。