人手が必要になるたびに業務ハックで乗り越えた

 私たちソニックガーデンは、システム受託開発を月額定額で提供する会社です。そのため社員の多くはエンジニアで、それ以外のマーケティングや経営をするメンバーも含めると、今は社員が35人、デザイナーなどのパートナーを含めると50人ほどの所帯になります。

 これだけの人数にも関わらず、私たちの会社には総務部や経理部がありません。それだけでなくパートタイムで手伝ってくれる人はいても、専任で総務や経理をする社員がいないのです。

 私たちの事業は、コンサルタントのように顧問としてお客様にサービスを提供するので、一人で複数のお客様を抱えています。そのため、取引先の数や請求の機会が非常に多いにも関わらず、バックオフィス専任の社員がいないのです。

 それができるのは、社内のバックオフィスすべてを統括している副社長が業務ハックの達人だからです。人手が必要になりそうになるたびに、業務ハックをすることで乗り越えてきました。

 それによって一般の会社に比べて、間接部門にかかる販管費が圧倒的に低く、生産効率の高い利益体質の会社になりました。その具体的な取り組みをいくつか紹介しましょう。

経費精算の業務ハックを継続的に実施

 領収書の整理と経費の精算、成果に直結しないもののやらないといけない面倒な仕事の一つです。

 創業当時は人数も少なくて経費を使うこともあまりなかったので、副社長が経費精算業務を一手に引き受けてくれていました。領収書を副社長の机の上に置いておけば、順次入力してくれて各自の口座に振り込まれるような運用でした。

 しかし人数が増えるにつれて処理が大変になります。何より問題だったのは、経費精算を処理してくれることを、誰もが当たり前と思うようになり、感謝が薄れてしまったことです。副社長の仕事は経費精算以外にも大量にあるのです。

 普通であれば担当者を採用するのかもしれません。しかし副社長がやったのは、Google Spreadsheetを用意して、各自でデータを入力してもらうようにすることでした。同時に領収書の原本を社員の名前が記載されたクリアファイルに保管します。副社長は、期日になったらそのクリアファイルとSpreadsheetから抽出した入力データをまとめて税理士に送付します。

 この業務ハックで副社長の負担は大幅に削減されました。