ピョートル氏は、成長やパフォーマンスの発揮を期待できる環境について、この2つをコンセプトとして挙げた。

「ラーニングアジリティとは、“成長思考”に一番近い言葉ですが、難度が高く学びの多い仕事を好んで引き受ける姿勢ですね。常に学習しようとしている姿勢です」

 ピョートル氏は、以下の4つの質問を、ラーニングアジリティの指標として投げかける。皆さんの仕事や職場のスタンスは、これらに当てはまるだろうか。

・難度が高く学びの多い仕事を好んで引き受けるか。
・新しい能力を開発する機会を常に探しているか。
・高い技術や知識レベルが必要とされる仕事を好むか。
・自分自身を大きく変えることができると思っているか。
 

「心理的安全性というのは、皆さんが自分らしく働ける、そのままの自分を仕事に持って行ける、周りの人たちを尊重している、信頼している、という状態です。互いのことを高め合える関係性でもあります」

 心理的安全性の指標は下記の4つ。こちらはどうだろうか。

・自分の職場で自分らしくいられるか。
・新しいことにチャレンジすることに、上司や同僚が協力的か。
・職場で周囲がネガティブなプレッシャーをかけることがないか。
・チーム内の意思決定は、全員の意見が尊重されるか。
 

 参加者の中には苦笑いをしている人もいた。いろいろ思い当たる節があるのだろう。

ピョートル氏の話やワークに集中する参加者たち。

 次に、参加者同士がペアを組み、合図があるまでお互いの顔を見続けるというワーク。もちろん、途中で目をそらしたり笑ったりしてはいけない。

 2分ほど経ったところで、合図が入る。ピョートル氏によれば、エグゼクティブ向けのコーチングでは、これを15分間続けるという。

「2分くらい経つと、ぼやっとしてきて、相手と自分の境界がなくなるように感じるのです。人を見るというのは、こういうことです。緊張感を持って関係性を作る必要なんてないのです。自分の仕事のチームに、変なプレッシャーをかける必要なんてないはずですよね」

 我々は、普段、他人を見ているようで、実はきちんと見ていなかったのだという。そのような姿勢では、たしかに同僚などの内面まで理解するのは難しいかもしれない。

「だから、一瞬一瞬目を見て、どんな質問をするかによって、どれくらい自己開示するかによって、職場が変わっていく。単純ですよね」