「BMW i3」に見た
“今”にとらわれないものづくり

新設工場で量産される「これまでにない」車体とは
2015.2.26(木) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
シェア53
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
BMW i3。「観音開き」のドアを取り巻く開口部を持つ車体外郭(ボディシェル)の主要構造体は、片側2枚のドアも含めてC(カーボン)FRPの成形材を接着して造られている。キャビンの空間は4人の大人が快適に移動するのに十分な寸法と居住感を持っている。車室床が高いのは別に紹介するように、電池を床下に収めつつ走行機能要素の骨格(フレーム)を全通させるレイアウトのため。(写真:BMW AG、以下同)
アメリカ西部、ワシントン州モーゼスレイクに新規設立・建設した専用工場で、アクリル繊維(PAN)から招請されるカーボンファイバー。この後の新しいつくり方、すなわち単一方向(UD)組物をあらかじめ型に沿うように成形するプロセスに適した素材特性にしているものと思われる。
拡大画像表示
ドイツに渡ったカーボンファイバー素材は布状に加工され、およその形状に成形された後、この写真に見るように成形型(台上の艶のある黒い面)の上に、テキスタイルファイバーの中間材と交互に重ね合わせて置かれる。これを上からも成形型で挟んで圧縮し、その状態で成形加工機に収めて上下面の各所から同時に液状のプラスチック素材を一気に注入、拡散・浸透させつつ、加熱して硬化させる。
拡大画像表示
RTM成形で作られた骨格部材は、ライプツィヒ工場の車体組み立て工程に送られ、接着でボディシェルの形につくり上げられる。こうした工程が多数並んだロボットによって進められるのは、今日の乗用車組み立ての中では金属製ボディでも同様だが、i3の車体では各部材は連続した接着によって接合されるわけで、点々とスポット溶接で止めるよりも構造体としての連続性は高い可能性がある。その接着部の総延長は車体全体で160メートルに達するという。
拡大画像表示
BMW i3の基本機構透視写真。車室を包み込む黒い素材の「殻」がC(カーボン)FRP成形・接合で作られている。その床下に21kWhの容量を持つリチウムイオン電池が並べられ、それを収めて前後に伸び、サスペンションと操舵機構、後部にモーターなど駆動機構が組み付けられる白銀色の「骨格」(フレーム)はアルミ合金製。このフレームの上にボディシェルを載せて締結する構造である。この車両は後輪間の空間右側(写真奥)に2気筒のガソリンエンジン(その断面が緑に着色されている)を積んだ「レンジエクステンダー」仕様。モーターは車両左側に積まれている。
拡大画像表示

産業の写真

ソニーから独立して10年、ノジマグループとなるPCメーカー「VAIO」社長が語る“純国産”メーカーのこだわり
原子力発電、再稼働しないことで生じるリスクに目を向けよ 規制委に便益とのバランスを求める制度が必要だ
自らの感覚を信じ、SUBARUでの自動運転の実現を目指した技術者の半生
問屋を通さないアイリスオーヤマの「メーカーベンダーシステム」、“物流で市場を制する”仕組みとは?
日揮HDのデジタル戦略・IT統括ユニット部長が語る、サイバーセキュリティマネジメントと実践からの学び
ヘルスケア・メディカルに特化した「Another Kao」なぜ花王はソリューション領域を目指すのか?

本日の新着

一覧
トランプ暗殺未遂「奇跡の一枚」だけじゃない、ピュリツァー賞写真家は「あの瞬間」をどう撮った?
2024年を振り返る:トランプ氏の「薄毛」に関心?構図にこだわる写真家魂【JBpressセレクション】
JBpress
原子力発電、再稼働しないことで生じるリスクに目を向けよ 規制委に便益とのバランスを求める制度が必要だ
国民には原発が生み出す安定・安価の電力を享受する権利がある
杉山 大志
ドイツで震え上がるシリア難民、アサド政権崩壊で「帰還案」…極右・移民排斥論の台頭で瀕死の「欧州の良心」
楠 佳那子
韓国・尹錫悦大統領が守り抜いてきた「愛妻」金建希夫人の背後まで迫ってきた司直の手
李 正宣
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。