ただでは吹かない自動車業界の順風
アメリカの年間新車(乗用車系)販売台数の推移。1999年以降、リーマン・ショックに直面する2008年までは活況を呈していたこと、すなわち「世界バブル」を体現していたアメリカの状況が表れている。リーマン・ショックからの回復は2年後の2010年には現れ、そこからは直線的に上昇が続く。不況と言われつつも「クルマは欲しい」アメリカ人の生活が表れている。乗用車(cars:青線)とSUVやミニバンを含む小型トラック(light trucks:赤線)の販売量の推移にも注目されたい。
(「WardsAuto.com」掲載のデータを基に作成)
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2011年と2012年のアメリカ合衆国の新車(乗用車系)販売台数を、メーカー別に整理して市場シェアが「見える」円グラフにしてみた。販売総量の伸長よりも伸びが少なかったGMとフォードのシェアが少し縮小しているが、いまだに「ビッグ3」が45%のシェアを維持している。日本車のシェアは横這いだが、韓国勢の市場浸透は以前から指摘しているように「安さ」だけではなく、アメリカで求められる日常生活の一部としてのクルマとして、日本車と肩を並べるレベルになっていること、特にキアはスタイリングの訴求力が高いことなど、相当に手強い。ドイツ勢は上級ブランドが定着しているが、フォルクスワーゲンの浸透努力が本格化すればシェアを拡大する可能性が高い。そこで「食われる」のはまず日本車となろう。
(「Autodata」の公表データを基に作成)
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参考までに、リーマン・ショック直前(2007年)のアメリカ新車市場の状況、日米メーカーのシェアを示した円グラフ。5年前でまだ「ビッグ3」は半分超のシェアを占めていた。これ以後数年をかけてアメリカ車のシェアが低下した分が韓国勢に置き換わった形である。日本車のシェアは今と大きく違わない。アメリカの市場は巨大なだけに「消費の慣性」も大きく、ユーザーの中に日本車のかつての良いイメージがまだ「伝説」として残っているから、シェアも維持できているが、製品力の低下が実感されてしまうと回復は非常に難しくなる。
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