トヨタはル・マンで「ハイブリッド対決に敗れた」のか?

2012.6.29(金) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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2012年6月16日15時、今年のル・マン24時間レース、スタートの瞬間。先頭は優勝まで走りきることになるアウディ「R18 e-tron クワトロ」、続いて通常動力(ディーゼル)の「R18」、その背後にトヨタ「TS030」「R18」「TS030」と踵を接して続く。予選からレース序盤5時間までは「スプリント力」に関してはトヨタも肩を並べうるところを見せてはいたのだが。それだけではル・マンは勝てない。スタートとゴールを見にスタンドに集まる観客は10万人以上、コース全周では23万~24万人とも言われ、食堂や物販はもちろん移動遊園地や見せ物小屋、コンサートステージまでが仮設される、まさに「夏至の祭」である。(写真提供:AUDI AG)
アウディR18 e-tronクワトロの通常動力+電動駆動・2元独立システム。車両中央後方に搭載されたV型6気筒ディーゼルエンジンの出力はトランスミッションを介して、後輪を駆動する(オレンジ色の矢印)。前輪とつながれたモーターは減速時に発電し、その電力でコックピット内に搭載されたエネルギー貯蔵ユニット(黒い円筒)のフライホイールをその軸に直結されたモーターで加速する。こうして蓄えたエネルギーで加速時にフライホイール軸モーターを逆に回して発電、その電力を前輪モーターに送って駆動力を発生させる(グリーンの矢印)。この加速時の電動駆動は時速120キロメートルを越えないと使えない、という技術規則。モーターによる駆動は低速から大きな力を出せるので、そのメリットを抑制する、という理屈ではある。(写真提供:AUDI AG)
マツダが2011年東京モーターショーに出品した次期量産セダンのコンセプトカー「雄(TAKERI)」に実装されていた電気2層式キャパシタ(矢印)。電動(モーター)駆動は持たないので減速回生で得た電力を蓄えて、クルマの中の様々な電力消費に振り向ける。その分、エンジンが発電機を駆動する負荷が減り、燃費が改善される。もちろん駆動モーターを持つクルマならばそのまま駆動に使えばよい。(写真提供:マツダ)
ピットストップするトヨタTS030。このゼッケンナンバー7はスタートからずっとトップグループを走り、5時間経過直前に一瞬だけトップに立ったが、その後、もう1台のTS030のクラッシュに対処するための長いセーフティカー先導走行の後、電力系統にトラブル発生、最終的にはエンジントラブル(1気筒のピストンが破損したとのこと)でリタイヤに追い込まれた。LMPマシンの外形の大枠、各部の寸法や空力付加部品の位置と大きさなどは車両規定で決められているので、必然的にある形に落ち着く。さらに「速いクルマ」を解析して長所(と思われる処理)は導入するので、どうしても似た姿になってゆくのである。(写真提供:Toyota Motorsport GmbH.)

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