「シボレー・ソニック」。素直な空間設計をそれなりに抑揚のあるフォルムに仕上げている。日本向けはとりあえず韓国で製造される5ドア・ハッチバックに1.6リットルのエンジンと6速オートマチック・トランスミッションの組み合わせを搭載。タイヤも韓国のハンコック製だったが、日本のタイヤメーカーが作る同種のライン装着品(例えばブリヂストンが作るトヨタ「ヴィッツ」/「アクア」用)に比べて素直な仕上がり。
こうした動質の鍵を握る要素の造り込みも世界レベルの実用品として十分なところまで進歩した。欧州のサプライヤーやコンサルタントも使いこなしているなど、沈下する日本メーカーと製品の実力は拮抗、ものによっては追い越しつつあるのを実感した。(筆者撮影、以下同)
トヨタ「アクア」のパワーパッケージ。写真左側に1.5リットルの吸気早閉じ(実圧縮比が膨張比より小さくなる)エンジン、動力混合と無段変速を受け持つ遊星歯車と発電機を挟んで右端に駆動用モーター(減速歯車伝達)という構成は、1997年登場の初代「プリウス」から根本的な進化はなく、捲線断面を四角にするなどして、より小さなコンパクトクラスのエンジンルーム骨格の幅の中に収めるために外寸を削ったのが今回の開発ポイント。駆動をどう作るかの考え方に進化はない。
短時間の試乗で確認できた範囲では、燃費のスウィートスポットは相変わらず狭く、実用に供した時の燃料消費はプリウスと大差ない可能性が高い。「ゴルフ」日本仕様がアイドリングストップと減速時発電機駆動を実装してきたことで、低速側の実用燃費もプリウス、アクアに迫ると思われる。このあたりは初見ではなく少しじっくり付き合って確認する事象。
成功を継承してきた古典的な駆動機構レイアウトから乗用車との共通性が高いエンジン+トランスミッション一体横置きに転換した「フォード・エクスプローラー」。3列目のシートも備える大柄なSUVであることに変わりはないが、エンジンのダウンサイジングを進めてきた。
「ミニ・クーペ」。写真はターボ過給エンジンを積む「クーパーS」だが、自然吸気エンジンの「クーパー」も並べて試乗。どちらも脚を締め過ぎていて、わざとらしいフットワーク。キャビンもご覧のとおり低くてタイト。後席はないに等しい。1つのデザインからファッションとしての車型を多様化させようとする中でロジカルには首を傾げる展開。それでもこういうものを好む客層はある、といえばそれまでだが。
大きく押し出しの利くクーペフォルムだがドアは4枚、4人乗りのポルシェ、という商品企画の「パナメーラ」。ハイブリッドシステムは1モーター・2クラッチ方式で通常のオートマチック・トランスミッションを介して4輪に駆動を分岐するが、その動力使い分けから合流させる瞬間までの洗練度は高い。これも近々、もう少し対話を進めて燃費も含めた確認をする予定。
2011年にいわゆる大幅改良を受けたメルセデス・ベンツ「Cクラス」。主力エンジンは1.8リットル+ターボ過給エンジンで、今回の「C200」は出力で言えば3段階の中間仕様。
BMWもそうだが、もともとエンジン排気量を示していた数字のモデル名がダウンサイジングによって整合しなくなってきた。サスペンションの縮み側ストロークを切り詰めて車体地上高を落とした「アバンギャルド」は欧州では少数派のドレスアップ仕様であり、主力仕様として入念に造り込まれるものではない。