文=のかたあきこ 写真=木下清隆、のかたあきこ、時の宿すみれ
恋人、夫婦、親子、友達・・・、ふたり旅だから寛げる宿
『時の宿 すみれ』は、「おふたり様専用」の温泉旅館である。三代目女将の黄木(おおき)綾子さんが2005年、コンセプトを「ふたり旅」に一新して施設をリニューアルした。山形新幹線米沢駅から車で10分ほど。湯の沢温泉の一軒宿で、広大な雑木林に包まれて立つ様は隠れ家の趣だ。
客室は10室すべてが2人定員になっている。茶室風和室、アジアンテイストの和洋室、モダン家具の北欧風客室などタイプが異なり、好みで選べる。「恋人、夫婦、親子、友達・・・、ふたり旅の大切な時間を温泉宿でゆっくり過ごして欲しい」と女将さんは話す。
暖炉がある吹き抜けのラウンジは、季節の彩りと対面する空間だ。女将さんは庭を眺めながら、「ここは祖父が『ユートピアをつくろう』と探し求めた場所。皆様に温泉で元気になってもらえたらと、1980年に『健康の宿すみれ荘』として開業したのが始まり」と話す。ユートピアだから自然環境は抜群。自然と温泉に癒やされ、リフレッシュできる。静寂に包まれる雪化粧の冬もいい。
湯の沢温泉は開湯300年以上という歴史ある温泉だ。泉質は単純温泉で、自家源泉を掛け流しにしている。無色透明の温泉は肌によくなじみ、体を芯から温める。展望風呂のほか、貸し切り露天風呂(無料)が2か所あり、川と対面する開放感を心ゆくまで楽しめる。