「君、頭いいね」はNG?

「君、頭いいね」などと言われると、逆に「馬鹿にしてる?」と受け取ったり、相手を上から目線の人だと感じてしまうこと、ありませんか?

 では、「聡明だね」と言い換えるとどうでしょう? 「聡」というのは耳がよく聞こえるということです。また、「明」は目がよく見えるという意味があります。このことから「聡明」は、物事の理解が早く、賢いこと意味になったのですが、頭の良さだけでなく、人格や才能まで褒められたように感じるのではないでしょうか? 

 また、「とても機知に富んでいますね」と言われると、行動力、発想力を褒められたように感じませんか? 「機知」は、その場の状況に応じて素早く働く才能や知恵のことです。ですから、このような才能や知恵をたくさん備えている人ですね、という褒め言葉になります。ただ漠然と頭がいいと言わず、どんな才能や能力が優れているのかが伝わる言葉を選びましょう。

 そして、その言葉が持つ本来の意味を知って言い換えをすると、人間関係を今よりもっと円滑にすることに役立つのではないでしょうか?

 

センスが光る言い換え術

●「元気」を「闊達」に言い換える

 子どもだったら、単純に「元気がいいですね」と褒められれば喜ぶかもしれませんが、大人だとちょっと強引で厚かましいとか、自分勝手でデリカシーにかける、というニュアンスが入ってしまうかもしれません。「闊達」とは度量が大きく、小さいことにはこだわらないこと、自由で伸びやかなこと、という意味です。闊達を使うと、どこにいても自由に自分らしく生き生きと振る舞える、という最高の褒め言葉になります。

「闊達」を使った四字熟語には「自由闊達」「闊達自在」「明快闊達」「闊達豪放」があります。「自由闊達」「闊達自在」は固定観念にとらわれず、自分の思うまま自由に振る舞うという意味なので、「自由闊達な方ですね」「闊達自在ですね」などと褒めるのもいいでしょう。「明快闊達」は明るくてさっぱりした心の広さを表し、「闊達豪放」は豪快さがさらに加わる表現です。

 

●「謙虚」を「奥ゆかしい」と言い換える

 控え目でおとなしいことを意味する「謙虚」。たしかにそのような振る舞いは美徳でもありますが、消極的という見方もされます。「謙虚な人」を「奥ゆかしい人」と言い換えると、控え目なところがいじらしい、というニュアンスが加わるのではないでしょうか。

「ゆかしい」とは「行きたい」という意味です。奥ゆかしいは奥まで行きたいとところから、本来は心が惹かれ、実際に接してみたい、という気持ちを表す言葉でした。ですから、いじらしさも感じられるのだと思います。ストレートに「いじらしい人ですね」と言ってもいいですし、「健気(けなげ)な人」という言い方にも同様に、いじらしさが感じられると思います。

 また、「しとやかな人」と表現すれば、上品さや物腰の柔らかさ、たしなみがプラスされる表現になります。

 このほかにも、「努力」を直向(ひたむ)き、「性格」を「気立て」と言い換えるだけで、印象が変わります。「努力家ですね」という言い方は、一つの物事にまっすぐ心を向けている様子を意味する「直向きな人ですね」といった言い換えができます。忍耐強さや一途さも感じられ、とても良い表現だと思います。

 また「性格」というとその人の特徴になってしまいますが、「気立て」は、人に対して現れる、その人に備わっている心の持ち方なので、「性格がいい人ですね」より「気立てがいい人ですね」と言うほうが、魅力的な人だということがより伝わるやわらかい表現になります。