順当なら中大、日体大、拓大、法大も上位候補だ。4校とも昨年の予選会を突破しているだけでなく、今季6月の全日本大学駅伝関東学連推薦選考会もクリア。拓大のジョセフ・ラジニ(3年)は今季10000mで27分25秒65の日本学生記録を樹立しており、2年連続の個人トップを狙っている。5000mで13分25秒87のU20日本記録を持つ中大・吉居大和(2年)、5月の関東インカレ1部でマルチ入賞(10000m4位、5000m7位)を果たした日体大・藤本珠輝(3年)、箱根駅伝1区で区間賞を獲得した法大・鎌田航生(4年)は日本人トップの候補になる。
国士大はハーフマラソンで学生歴代2位の59分51秒を持つライモイ・ヴィンセント(4年)で大量貯金が可能。前回(5位通過)の経験者を大量にエントリーしており、通過は固いと読む。順当なら残りは4校だ。ボーダーライン付近にいるのが、中央学大、神奈川大、山梨学大、城西大、上武大、大東大、駿河台大になる。
中央学大は10000m平均タイムで5位につけるが、主力選手に故障や体調不良が出て、チームの仕上がりが良くないという。予選会のレース運びが巧みな神奈川大も、箱根駅伝1区と3区を務めた呑村大樹と川口慧の4年生コンビが外れた。
山梨学大、城西大、上武大、大東大も主力選手を複数欠いている。不安を抱える大学が多いだけに、法大時代に箱根路を沸かせた徳本一善駅伝監督が率いる駿河台大にビッグチャンスがめぐってきたといえるだろう。昨年は15位に終わったが、6月の全日本大学駅伝関東学連推薦選考会は8位と大健闘。主力選手を順当にエントリーしており、初出場の期待が高まっている。
一方、専大、筑波大、日大はエース級が外れており、今回は厳しい戦いになりそうだ。そして本格強化を始めた慶大、立教大がどこまでボーダーラインに迫るのか。今後を占う意味でも目が離せない。
今季は専大と大東大が初めて留学生を招聘。流経大も13年ぶりに留学生を入学させた。他にも拓大、国士大、山梨学大、駿河台大、日大、平成国際大、日本薬科大、武蔵野学院大、桜美林大が留学生をエントリー。今年の予選会には過去最多12人の留学生ランナー出走が予想されており、レースはハイペースになるだろう。
今回は昨年と同じく、立川市・陸上自衛隊立川駐屯地内の1周約2.6㎞の滑走路を周回する公認コースで行わる。フラットで道幅が広いことと、シューズの進化も高速レースを後押しする要因になる。
〝10番目の選手〟の通過をチェック
予選会独自の戦い方には「集団走」というものがある。チーム内で数人のグループを作り、確実にレースを進める戦略だ。上位を走る選手に目が奪われがちだが、予選会は8~10番目の選手が遅れないことの方が重要になる。テレビ観戦時には〝10番目の選手〟の通過をしっかりとチェックしていただきたい。
また天候によって予選会の戦い方は大きく変わってくる。昨年のように雨天で気温が上がらないと、高速決戦になりやすい。反対に日差しが強くなると、ハイペースで攻め込む大学は終盤苦しくなるケースがある。選手たちにどんなペースを指示するのか。指揮官たちの〝決断〟もポイントだ。
今回も昨年に続き、新型コロナウイルス感染対策としてコースを駐屯地内に限定し、無観客で開催される。静寂のなかで行われるレースには、どんな魔物が潜んでいるのか。スタート時刻は朝9時35分。天国と地獄を隔てる決戦がまもなく始まる。