鉄道旅の道連れは「こけし」

 鉄道旅に必ず持って行くものが「こけし」。じつは、こけしも鉄道旅を通して知り合った存在なんです。きっかけは、『新・鉄子の旅』でJR陸羽東線の鳴子温泉駅にたまたま降りたこと。その時に1体のこけしに出会ったことからはまって、気がつけば今では170体くらいにまで増えています。

鉄道旅には必ずこけしを持参

 こけしの産地は東北各地にあります。その産地まで鉄道で行き、工人さんと会い、こけしを買うという一連の旅の流れも楽しい。こけしの工房に伺うと、まるで実家のおじいちゃんのように温かく迎えてくださり、工人さん達の優しいお人柄や方言に心癒されるのです。

 仲良しの工人さんは、私に娘が生まれた時に等身大の「誕生こけし」を作ってくれました。友人たちがお金を出しあって工人さんに頼んでくれたのです。娘の誕生日がくるたびに、誕生こけしと並べて「こんなに身長が伸びたね」と背比べしています。これも鉄道旅がつなげてくれた貴重なご縁です。

 旅に出る時には、その日、目があったこけしをピックアップして連れていくのですが、東北方面に行く時にはだいたいその産地のこけしを連れていくことにしています。たとえば、「鳴子に行くなら、やはりこの子を連れていこう」と、里帰りをさせてあげる感覚です。また、「今回の旅では黄色い車両に乗るから、この黄色いりんごの子を連れていこう」という時もあります。

 そして旅先では、必ずこけしを入れて写真を撮ります。そうすると、ただの風景写真とは一味違う、ノスタルジックな旅情や情感が生まれます。なんでもない景色も、こけしを入れ込むことでその旅に色がつくように映えます。鉄道旅とこけしには親和性があって、特に私の好きなレトロな駅舎や車両にはこけしがよくはまるのです。

雄大な車窓とともにこけしを入れて撮影するのも旅の醍醐味

 インスタスグラムにもたびたびこけしの写真を載せていて、“コケシスタグラム”のようになっています。これを旅の記録として見返すと、写真映えするだけでなく、「この子とこういう旅したな」「あの時の天気はきれいだったな」と、当時の感情や感動をこけしが思い出させてくれるのです。まるで私の気持ちを代弁してくれている友達のような、大切な存在です。