ギャンブル依存症や八百長などが蔓延する懸念

 スポーツベッティングには産業面からのメリットが大きいとはいえ、あくまでスポーツを対象とした賭け事であり、国内での合法化には慎重であるべきだ。

 スポーツ現場において、様々な競技がベッティングの対象となったときに、スポーツ界としては不正防止をいかに徹底できるかという問題が生じる。過去には、日本のプロ野球でも八百長に関与したとして、永久追放などの処分が行われた。

 また、2015年ごろには、totoをプロ野球へ拡大することを目指す動きがあったが、巨人の選手らが違法な野球賭博に関与していたことが発覚し、一気に機運がしぼんだ経緯もある。

(写真:Victor Moussa/Shutterstock.com

 アスリートの立場からは、不当な批判や誹謗中傷にさらされるリスクが大きい。全米大学体育協会(NCAA)が最近になって、選手の細かい成績や統計を対象とした賭けを禁止すると発表したとの報道もある。アメリカのプロバスケットボール、NBAでは、NBAを巡るスポーツ賭博をしている知人に自身の体調に関する情報を漏えいした選手が永久追放処分を受けた。

 スポーツベッティングを行う人たちにも、ギャンブル依存症への対策が必要となってくる。今回の水原氏の一件以降、日本国内でもギャンブル依存に苦しむ人たちがメディアの取材を受けているが、抜け出すことは容易ではないことがうかがい知れる。