東京電力PGがデジタル技術で取り組む2つの変革

電力データを利用し新たな事業創出へ

鍋島 勢理(CDO Club Japan)/2019.4.9

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 東京電力グループの中で、託送事業(送電線網を使って電気を送る)を担うのが東京電力パワーグリッド(東電PG)だ。人口減少、自由化、発電の分散化などの環境変化に対して、デジタル技術を使ってどのように取り組もうとしているのか。同社副社長CIO兼IoT担当の三野治紀氏に、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島勢理氏が聞いた。(JBpress)

――御社はデジタル変革の潮流をどのように見ておられますか。

 この流れは止められません。デジタルトランスフォーメーションが進むと業界の垣根がなくなっていきます。デジタル変革を止めてしまうと、ディスラプターによって自らの事業の機会をなくすことになってしまいます。

チャンスと捉え、自ら進める

 弊社としては、座して変革の渦に巻き込まれるのではなく、これをチャンスと捉えて自らデジタルトランスフォーメーションを進めていこうと考えています。

 2016年に東京電力グループが分社化した際に、CIO(Chief Information Officer)とIoT担当を置きました。IoT担当というのはCDO(Chief Digital Officer)に相当すると思います。同年8月には業務変革、デジタル化の推進、ITシステム開発の3つを一体的に推進するため、部門横断的な組織として「技術・業務革新推進室」を作りました。

――具体的にはどのようなことに取り組まれていますか。

 デジタル技術を使って大きく2つのことを成し遂げようとしています。一つは業務効率化、生産性倍増の取り組みです。もう一つは、データの利活用を含めて、新たな事業を創出して企業価値を高めていくことです。

 デジタル技術による業務効率化の具体例をいくつかご紹介しましょう。まずは設備の工事や点検などを行う部門に導入したウェアラブルカメラ映像配信システムです。

 現場ではウェアラブルカメラをヘルメットに装着した作業者が作業を行い、同時に映像を支社などへ送ります。音声の双方向通話も可能です。モニタリング側のパソコンからズームや画質の制御もできます。従来複数人が現場へ赴く必要がありましたが、これで少人数での作業が可能になりました。現在600台以上のウェアラブルカメラを約200拠点で活用しています。