MaaS(Mobility as a Service、マース)という概念が注目を集めているなかで、東日本旅客鉄道(JR東日本)は多くの企業や団体を集めて「モビリティ変革コンソーシアム」を設立・運営している。その内容や目的について、同社技術イノベーション推進本部ITストラテジー部門の中川剛志次長に、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島勢理氏が聞いた。(JBpress)

他社と連携しエコシステムを構築する

――まず、中川さんがどのようなことをなさっているかをお聞かせください。

 2017年に当社が呼びかけて設立した「モビリティ変革コンソーシアム」を中心に活動しています。このコンソーシアムは、交通事業者、メーカー、大学や研究機関などが連携して、モビリティ(移動手段)の変革によって社会課題を解決しよう、という取り組みです。

 現在約130社にご参加いただいて、3つのワーキンググループで活動しています。(1)出発地から到着地までのシームレスな移動の実現(Door to Door推進)、(2)次世代型の街のあり方とそれを支える公共交通の役割の検討(Smart City)、(3)公共交通機関におけるロボット技術の活用――という3つです。

――どのような経緯でコンソーシアムを作ったのでしょうか。

 弊社は2016年に、IoT、ビッグデータ、AIなどによって「モビリティ革命」の実現をめざす、という「技術革新中長期ビジョン」を策定しました。

 今後、公共交通と自動車との境目があいまいになっていくことを考えると、「いままでのような鉄道という枠にとらわれていてはいけない」ということです。これまで弊社の事業は、駅から駅までお客さまを安全・安心に大量輸送することが中心でしたが、今後はドアからドアまで、ポイントからポイントまでお客さまをきちんとサポートするという考えに変えていく、ということです。