まずは退職の意思を「受け止める」ことから

はるやまホールディングス管理本部執行役員・竹内愛二朗氏。

 そうしてルール化された「退職者ヒアリング」の第一歩は、日頃コミュニケーションをとっている店長やマネージャー面談から。面談では、最初に受け取った「建前」から一歩踏み込んだ「本音」を聞き出すことが大事になる。

「本音」の理由は「転勤」「仕事内容」「人間関係」「給与・賞与」「休日・勤務時間」「業務環境」「会社の将来性」「その他」に分類し、その内容を「真因」として「退職者面談シート」に記載、人事部に提出するという流れになっている。

 さらに、「最近は、店長の段階で真因が分かるようになってきましたが、それでも分からない場合は、私たち役員が電話して聞くようにしています」(竹内氏)という。

 しかし、突然役員から電話がかかってきて、従業員は本音で話せるものだろうか。また「引き留め」として電話自体、敬遠される恐れもありそうだ。それに対し、竹内氏は次のように話す。

「前向きな退職理由であれば応援したい、ということを最初に伝えます。そして、もしそう(前向きな理由)でなければその本当のところを聞きたいし、会社が直せるところがあれば直したいということも伝えると、『正直なところ・・・』という私たちにとっては耳の痛い話もしてくれます。もちろんそうした話をしてくれるのは、私たちが日常的に店舗に行って声をかけたりするなど、普段から従業員とコミュニケーションをとっているということは前提にあると思います」

 また、ヒアリングを行う過程で「実は、話を聞いてほしかったし、実際に話をしたら落ち着いた」という人もいるという。

退職者ヒアリングをもとに30を超える制度を導入

 こうしてヒアリングした真因を、2015年度から集計してデータ化。同年度の退職理由では「他の職種に転職したい」が最も多く(43.7%)、「給与が上がらないことへの不満」が10.7%、「望まない場所へ転勤となることへの不安」が10.0%と続いた。