ティール組織に進化するための3つの「突破口」とは

 では、現状の組織風土を形成するには、どのような過程があったのだろうか。実は、同社にも、『ティール組織』で紹介されている、企業が「ティール組織」へ進化するために必要とされる3つの突破口(ブレークスルー)が存在した。

『ティール組織』で紹介されているその特徴をまとめると、次のようなものだ*4

(1)自主経営(セルフマネジメント)

 上司からの指示(階層)や合意形成(コンセンサス)に頼ることなく、仲間との関係性の中で個々の従業員が自身の役割を果たし、主体性をもって日々の仕事を行えること。そのため、従業員一人ひとりが、「信頼」に足る「大人」であることが前提となる。「信頼」には「責任」が伴うからだ。
 
(2)全体性(ホールネス)

 本来の自分らしい姿で職場にいられるような慣行が実践されていること。逆に、上司から指示された仕事をただこなしている、会社から要求される自分の一部のスキル(専門性)のみを提供している――、こうした仕事中の姿は、非常に「部分的」ということである。

(3)存在目的(進化する目的)

 組織自体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかが分かるミッションを持っていていること。同時にそれはカタチだけのものでなく、従業員と共有され、実践が可能な状態になっていること。

 中でも、「自主経営」の実現という面で大きく寄与する制度の導入が、2012年にあったという。それが、ワーキンググループ制度だ。第2回では、ワーキンググループ制度や、マネージャー制度(上司-部下の関係)を撤廃した新・人事/評価制度など、同社の組織風土づくりに関する具体的な内容を紹介していきたい。

(第2回へ続く)

*4:要約した内容は本稿の筆者の解釈を含む。本稿を通じ、『ティール組織』の内容を要約して説明するにあたって、同様の解釈が含まれていることをあらかじめご了承いただきたい。