こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。

40代以上のサラリーマンは休みが増えると居場所がなくなる

「働き方改革」の目的の一つは社員の健康です。経営者としては、働き方を変えることで「稼ぎ方改革」も実現したいところですが、そこを主眼にしてしまうと、結局社員は仕事中心の生活に追い込まれ、過労による深刻な事態を引き起こしてしまいます。

 過去にそうした失敗があったため、現在、多くの企業が「働き方改革は休み方改革」という方針を出し、時間外労働の上限を定め、有給含めしっかり休む日を確保させるような施策を打ち出しています。「残業代が生活費の一部になっている」という実態にも配慮し、残業代に相当するような額を給与に上乗せしたり、副業を認めたりする企業もあります。社員にとっては「勤務時間も短くなり、収入は下がらない」と、願ったりかなったりの状態のように見えますが、実はここに罠が潜んでいます。

 確かに若い社員は「これでワークライフバランスが充実する」と喜ぶでしょう。しかし、40代以上のおじさんサラリーマンにとっては、かなりの割合でこれはあまり歓迎すべき事態ではありません。ぽっかり空いた時間の使い方に、おじさんたちは大変困っているのです。

 早めに帰宅できたとしても、肝心の自宅の方は「平日の早い時間は旦那は家にいない」という前提で、奥さん中心に動いています。なので、旦那さんは我が家で居場所を見つけられません。うっかりすると、慣れない家事を任されてしまうかもしれない。だからと言って、毎日飲みに行くほどお小遣いは豊富ではない・・・。これが、「働き方改革」が中高年に与える負の側面です。

 良し悪しは別として、バブル前後入社の中高年は職場以外に居場所をつくる経験をせず過ごしてきました。ゆえに、職場以外ではどう時間を活用すればいいかが分からないのです。