戦略というのは、大胆なものほど不確かな部分が増えて、人によって評価が異なってきます。しかし、そういう戦略でしか勝てないのが現実です。ラディカルな面白い戦略を意思決定するには、全員一致ではできません。

 これが起業となると、さらに不確定要素が増えます。どんなにいい着眼で、チームが良く、事前にリサーチを重ねてしっかりと計画を練り、成功確率をある程度上げることができても、結局のところは「やってみないと分からない」面が残ります。

 起業に際しては、自分のよく知っている領域からスタートし、よく知っている環境でビジネスをしようとする人がほとんどでしょう。

 しかし、私の知っている京都大学の元院生はイスラエルで起業し幅広く活動していますが、イスラエルで起業すると決断した時は、本を通してイスラエルに関心を持っていたものの、実際には行ったこともなかったそうです。

 起業では、創業者が「見えない世界」(ビジネスの将来の姿)についての強い興味や関心を持っていることがきわめて重要です。いくらイノベーションだ社内起業だと旗を振っても、見えない世界への興味・関心がないとどうにもならないのです。

創造的な人は見えない世界を大事にしている

 筆者は、創造力のある人は見えない世界への関心が高いと思っています。

 例えば麻雀は、将棋や碁に比べて「運」がかなりの比重を占めるゲームですが、そこには「デジタル派」と「オカルト派」がいます。