会社にとっては、社員たちがそれぞれの経験や分析から、会社にとっての最善解は何かについてアイデアを出し合ったり建設的に批判したり、議論(ディベート)することが必要になります。最適解を導き出すための手段としてのディベートなので、議論の結果、自分の意見と違う方向に決まっても、それには従うことが大前提です。いつまでも議論に負けた不満を引きずり、サボタージュするというのは論外、アウトです。ディベートはあくまでリーダーが最適解を決断するための手段なので、決断の材料を提供するのが目的です。勝ち負けを気にするのは間違っています。真剣にディベートし、負けても腐らずに、自分の意見を積極的に表に出していくことが必要です。

 主体的なフォロワーになれるかどうかは、生まれついての性格や、経験の蓄積に左右されるわけではありません。なぜなら、会社を変えることでガラリと行動様式が変わる人も多いからです。

 これから企業の側は、役に立たない単なる服従者を減らし、フォロワーシップを持つ人を増やすために、個人の「主体的な選択」を重視する方向に向かわざるを得ないでしょう。また、個人の側は、これまでは選択を強く意識するのは大学の時の就職活動だけでしたが、これからは自分の主体的選択を常に意識し続けないと、フォロワーとして働くことも難しい時代になるということが言えると思います。

 次回につづきます。

(バックナンバー)
・「『社畜予備軍』と『未来の社長』を分けるもの」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52505
・「異動初日のマネージャーが絶対やってはいけないこと」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52629

(*)ビジネスパーソンにとっての権力の正しい捉え方をより詳しく知りたい方は、筆者の最新刊『新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をご一読ください。自分の取るべき道が、はっきり理解できるようになるはずです。

新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』(木谷哲夫著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

(筆者からのお知らせ)
 京都大学産官学連携本部では、京都大学東京オフィスで開催する「技術イノベーション事業化コース(実践ワークショップ)」(2018年5~8月)の受講生を募集しています。受講生が取り組むテーマについて検討し、それぞれのテーマ(4~5件を想定)と本学の研究成果とのマッチングを行ったうえで事業化プランの作成を行います。詳しくはこちらをご覧ください。