日本式のオフィスは文字どおり「事務所」であり、創造的活動を行うのには適していないのである。

仕事に集中し、成果をあげられる環境を

 前々回の「どう評価する? 一見怠けているけど結果を出す社員」で述べたように、コンピュータ化できない創造的活動の特徴は、仕事のコアになる部分が人間の頭というブラックボックスのなかにあり、外から評価も管理もできないところにある。表面に出た態度や行動は周辺部分にすぎないのだ。

 したがって基本的には仕事ぶりには干渉せず、きちっと成果をあげているか、しっかり役割を果たしているかどうかをチェックするしかない。

 上司が部下の仕事ぶりを監視して細かく口を出すのはナンセンスである。また上司や同僚と常に顔を突き合わせていなくても、必要なときにミーティングをすればよいし、パソコンやスマートフォンでコミュニケーションを取るツールも次々に開発されている。

 しかし現状では、一部の情報・ソフト系企業やシンクタンクを除き、知的活動に適した環境で働こうと思えば在宅勤務かモバイルワークをするしかないといってもよい。

まずオフィス改革から始めるのが効果的

 さらに女性の活躍やダイバシティを推進するうえでも、日本式のオフィスは障害になる。女性にしても外国人にしてもプライバシーを重視するので、大部屋で仕切りのないオフィスは敬遠される。幼い頃から個室を与えられてきた若手社員も同様である。