【3】制度・ルール構築のポイント

 これら制度・ルールを構築するうえでは、個々の制度・ルールごとに期待効果と副作用を明らかにしておくことがポイントとなる。なぜなら働き方改革においては、例えば「働く場所の柔軟性を高める一方、業務進捗管理が難しくなる在宅勤務の導入」と「業務目標の達成」といった、両立が難しい“二兎”を追うことが求められるからである。

 先の在宅勤務の例でも分かるとおり、個々の制度・ルールには必ず期待効果と副作用の両面が内在している。どちらがより強く現れるかは導入してみないと分からない。しかし事前に仮説を立てて副作用を抑制する施策をセットで打つことは可能である。

 また制度導入後は、望ましい変化と望ましくない変化の両方を捉えて対策を打ち続けることが求められる。そのためには人事部と各職場がそれぞれにアンテナを張って情報を共有し、意見を出し合いながら連携して進めることがポイントである。

 最後に、制度・ルール構築の企画立案者に一言。本稿のはじめに働き方改革のゴールは社員の意識・行動変換であると述べたが、働き方、すなわち「どのように働くか」の前に、「なぜ働くか」という問いに向き合うことで自身の働き方に意志が込められるであろう。企画立案者は「なぜ働くか」という問いに対して自分なりの回答を持ち、制度導入時にメッセージとして発信するとともに、社員一人ひとりがその問いに向き合うよう促す役割を果たすことを期待したい。