「IoT×自動車」が普及すると自動車がサイバー攻撃のターゲットに?(写真はイメージ)

 まずは今後の自動車の動向の主軸となるIoT(Internet of Things)の歴史について振り返ろう。

 IoTは一般的に「すべての『モノ』がインターネットに繋がること」と説明されることが多いが、これを内容にこだわらず、「ネットワークに接続されたモノから情報を収集して、その情報から新たな価値を生み出すこと」と広くとらえた場合、IoTの構想はインターネットの登場当初から存在したといえる。

自動車はIoTの先駆者だった

 1990年代、日本にインターネットが普及しはじめた頃からずっと、将来は全てのモノがインターネットに繋がり、やがては自動車のワイパーの稼働状況を集めて、どこに雨が降っているか知ることができるようになる、といわれていた。

 以来、その構想の核となる部分は、ユビキタス、ビッグデータ、IoTと、言葉を変えてとらえなおされ、新しく生まれた技術を取りこみながら成長して、新しいサービスの模索につながってきた。

 自動車に関しては、この間にテレマティクス、ITS(Intelligent Transport Systems)、コネクテッドカーなど、新たなカテゴリが設けられ、サービスの実現、ビジネスモデルの成立に向けて、多くの取り組みがなされてきた。

これからの「IoT×自動車」

 これまでの模索と、来たるべきIoT時代の自動車向けサービスでは、何が異なり、どのような展開が予期されるのだろうか。

 主な相違点としては、「広告型ビジネスモデルを成立させたIT大手の参入」、そして「所有から利用へ、有人から無人へ」、すなわちシェアリングサービスの普及と自動運転による無人化の2点が挙げられる(これらについては後述)。

 一方で、自動車のハッキングは、ホームページなどに対するハッキングに比べて、深刻な影響を社会に与えかねない。情報セキュリティの確保は、常に技術革新とのいたちごっこだが、効率的に問題を発見・修正していくことの重要性はいっそう高まるだろう。