IoTの普及によって製造業の概念が根本的に変わる可能性がある。GE出資の合弁会社が製造する航空機エンジン(資料写真、出所:Wikipedia)

 IoT(モノのインターネット)時代の到来を目前に控え、先行企業の動きが活発化している。製造業のサービス化は水面下で急速に進んでいるが、残念ながら日本企業の存在感は薄い。

 かつて日本の半導体メーカーや電機メーカーはビジネスモデルの転換が遅れ、国際競争力を失った。このままでは、重厚長大産業の分野でも同じ結果になりかねない。残された時間はほとんどないことを考えると、欧米企業の傘下入りなど現実的な選択肢も必要かもしれない。

GEとシーメンスが立て続けにIoT関連の買収を実施

 先月、偶然にも同じ日にIoT関係の大型買収案件が立て続けに発表され、関係者を驚かせた。

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は11月14日、在庫管理や人事管理システムを開発する米サービスマックスを9億1500万ドル(約990億円、当日のレート)で買収すると発表した。GEはIoTビジネスのプラットフォームとなるシステム基盤「プレディックス」をすでに開発しているが、事務管理システムをシステム基盤に接続することで企業情報システムとの本格的な連携を狙う。

 同じく14日、GEのライバルである独シーメンスも米国のソフトウエア企業であるメンター・グラフィックスを45億ドル(約4860億円)で買収すると発表した。シーメンスはドイツのソフトウエア企業SAPと組み、GEと同様のIoTシステム基盤「マインドスフィア」を提供している。シーメンスは、設計システムに強みを持つメンター社を買収することで、製造業におけるIoT化をさらに進めていく。