4年目の被災地、
コミュニティ再生につながる交通インフラを

核となるのは「個の移動」
2015.3.23(月) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
シェア15
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
東北の被災地では、4年前の巨大津波の爪痕を消し去ろうとするかのように、各所でそれぞれに山を削ぎ落とし、低地に土を盛り上げて四角い「高台」を築く大規模土木工事が進められている。青い海と緑なす山が接していた美しい風景を覚えている者には痛々しく感じるほど、土が剥き出しになっている。いずれ人工の植生の緑に覆われるのだろうけれども。中央に伸びる真新しい舗装路は、鉄道線路をBRTの専用道路に転換したもの。落橋など鉄路の構造物が破壊されている区間では、バスは一般道に出て他のクルマに混じって走る
気仙川の扇状地に広がっていた町並みの全てが消えて更地が広がる陸前高田では、延長3キロメートルに及ぶ大型土砂搬送ベルトコンベアが上空を横切って伸び、仮置き場に四角い土の山が姿を見せ始めている。1日にダンプトラック4000台分、2万立方メートルの土砂を移送でき、土砂移送に要する期間をダンプトラック利用の9年から2年に短縮できるという。とはいえこの仮置き場からさらに大型ダンプなどを使って山側まで土砂を動かして積み上げ、そこに10メートル嵩上げした地盤を築き、その上に市街区域(住宅地はさらに山側を削った地域)を建設しようという計画の第一段階にすぎない。現場に立つと、自然の姿を残さない人工地形を力技でつくる試み、という印象は否めない
拡大画像表示
土砂仮置き場(かつて松原もあった海沿いの地域)と気仙川を挟んだ対岸は山が迫っている。その今泉地区の斜面を大きく削り、高台の住宅地を造成。そこで出た土砂を市街地区域の嵩上げに用いるために巨大ベルトコンベアで搬出する。市街地区域を取り囲む反対側の山も削って高台住宅地とする。この陸前高田のものより小型の土砂移送用ベルトコンベアが、東松島市の野蒜地区に建設されている。この地域の高台移転計画にもいろいろ問題がある
拡大画像表示
地震と津波で寸断されたJR東日本・気仙沼線と大船渡線の「暫定措置」として2012年末から運行が始まったBRT。ここ1年で専用区間(軌道改造)がだいぶ増え、路線も伸びた。運行頻度や使われ方は鉄道と同様で、朝夕の通学(主に高校)時間帯だけは乗客が増える。通学定期利用客の運賃収入への依存度が高いのは、日本の地方鉄道の多くに共通。このやり方ではBRTが本来持っている可能性を引き出すことはできないし、路線需要も衰退する可能性が高い。新たな発想で地域に根ざした公共交通インフラを創出する好機なのだが

産業の写真

アマゾン、4四半期連続の2桁増収 純利益3.3倍
ボーイング傘下の国策ロケット企業を、なぜジェフ・ベゾスが狙うのか?
マツダ「MX-30 Rotary-EV」の走りは「ほんわか」、ロータリーエンジン搭載EVの実用性を1200km走破して改めて検証
MicrosoftとGoogleの増収増益続く AI需要背景に
【大混雑ゴールデンウィーク】京都にみるオーバーツーリズム、ホテルが増え住民は減る…「観光が成長を牽引」は幻想
EVの「キャズム」は日本メーカーに大チャンス、テスラなど欧米勢の失速をよそにトヨタもホンダもアクセルを踏む理由

本日の新着

一覧
日本維新の会、地方議員の連続離党はなぜ起きたのか
神宮寺 慎之介
アマゾン、4四半期連続の2桁増収 純利益3.3倍
クラウドコンピューティング事業の増収率回復
小久保 重信
ディープな中国情報でスクープを連発した記者は、汗だくの短パン姿で鄧小平の前に立った――追悼・藤田洋毅
新潮社フォーサイト
タモリ、桑田佳祐、藤井聡太の“神回答”から学ぶ「とっさに答えられるコメント力」の磨き方
真山 知幸
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。